Jアラートの怪 総務省消防庁に聞いてみた


面妖なJアラート
「大変だ、北朝鮮が日本にミサイルだって」
 家人の声で起こされた。 朝の6時2分だ。
 でも、うーん、眠い。最近また暑さがぶり返し、まったく何事もやる気がない。日々、食べて眠る病人のような怠惰な生活を続けている。
 なんだかテレビの音声がうるさい。ちょっと頭がはっきりする。なんだかテレビだけは核攻撃をされたような騒ぎである。
 それが頭脳に感染する。
「日本にミサイルとは、尋常ではない。三沢でも撃たれたか」
 もしそうなら、大変だというのも分かる。 
 NHKの画面を見ると面妖な? 北朝鮮のミサイル通過するのか攻撃対象と思わせる地域は12道県に及ぶ。

 軌道さえほとんど分かっていないのである。また高度、落下予測地点などの情報もない。
 ははー
 情報が少なければ少ないほど恐怖は高まる。だれだってミサイルはいやだ。どこにくるのかさえわからない。まるで日本を攻撃するかのようだ。
 本当にさっぱりわからないか、情報を隠すといういつものやり方だ。

“ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。”

 この文面をきいて、「政府とマスコミのぐるとなった煽りだな」と納得した。
 稚技に等しい。ばかばかしい、もう一度眠ろう。

 そもそも日本、米国、韓国のいずれかをミサイル攻撃した場合、北の金王朝の終わりの始まりである。まずあり得ないのだ。
 再度布団に入ったがクーラーのききがわるく、暑くて眠れない。

 しかたないので Jアラートとは何ぞやと調べてみると、総務庁が100億円もかけて作ったものらしい。ミサイルについては、そのときも役に立たないという意見も多かったようだが政府は強硬した。税金の無駄使いである。
 ジョージオーエルの「1984」であり、国民の恐怖心を煽って政権を維持しようという典型的なやり方だ。昨年まで滞在したベネズエラでは、最近、米国が攻めて来るといって下町のじっちゃん、ばっちゃん、ねぇーちゃんにAK47かなにか渡して、100万人も動員して米軍と戦う訓練をしていた。
 本質はそれと変わるところがない。

 マスコミ、とりわけ御用新聞は大はしゃぎである。うち一紙はずっと経営がはかばかしくない。このようなお祭りで売る必要がある。もっとも抑制されていたのは今朝の日経新聞北朝鮮への石油禁輸というのが小見出しである。

消防庁に聞いてみる
 さて、腹がたったのでJアラートの管轄部門に連絡することにした。初日は問い合わせたくさんで翌日になった。
 まず内閣官房に聞くとそれは消防庁だという。電話をすると繋がった。担当者はまだ若い男性と思われた。

私「今回のミサイルの軌道は津軽海峡の上空ですよね。なぜ、長野や群馬まで範囲にはいっているのですか」
担当者「範囲を広げて知らせるように設定されているんです」
私「1000キロ以上離れていますよね。群馬や長野があぶないですか」
 もし核搭載ミサイルへの対応ならば群馬まで入れるならば東京を入れないのは不自然である。
担当者「なにか部品が落ちて来るとか」
私「そんな可能性はどれぐあい、天文学的な確率ですか」
担当者「それがそう決められているので」
私「意味がないですよね」
担当者「いろいろ考えるところはありますが、内閣官房のほうで発信するか否か、その文面も決められているので」
私「あと、高度も落下地点もないですよね。500キロ上空とは日本の領空圏ですか」
担当者「ええ、それはどうなんでしょう。わかりません」
私「むしろ情報を少なくして恐怖を煽るシステムですね」
担当者「いろいろ考えるところがありますが、地震や自然災害のときも流しています」
私「つまり、Jアラートを流すだけの担当ということですね。自然災害には役立ってもミサイルについてのこのやり方は税金の全くの無駄ですね。非現実的ですし。まあ消防庁さんも大変ですが」
私「あと逃げる場所ですが、どこの逃げたらいいんですかね」
担当者「頑丈な建物とか」
私「どういうわけで長野や群馬で逃げるですか」
担当者「まあ何かおちて来るとか」

 ほかにあれこれやりとりがあったが、明らかにこんなやり方には消防庁のこの担当者も納得していないという雰囲気が言外に伺えた。
 いっそのこと次回からは対象地域の全員がいわれたままどこかに逃げて、学校、企業、電車、バスなどすべて休みにしてしまえばいい。

北朝鮮、安倍政権、アメリカの利害はある意味一致している
 恐怖を煽るという点で、内閣官房、すなわち安倍政権と北朝鮮の利害は一致している。アメリカだとて日本がまた高額な武器を購入してくれるのだから、3者の利害は一致している。
 日本国民は北朝鮮のミサイル発射などで右往左往するのは思うつぼである。
 第二次大戦中にロンドンがドイツに空爆をうけたときも、破壊された商店は「いつも通り」と店をあけていた。
 安倍首相は「北朝鮮の動きは完全に把握している。北の脅威新段階」などといっているが。日本の首相ならばこういうべきだろう。

「悔しかったら、我が首相官邸に向けてミサイルを発射してみなさい。わが美しい日本、過去を取り戻した日本は貴ミサイルごときでへこたれない。大和魂がある。今回は貴軌道は完全に把握していたが、今いち貴技術を信頼できない。だからどこを通るか、どこに落ちるのか想定が困難なところがある。今回は貴殿にお子さんが生まれたこともあり、撃ち落としては顔がつぶれるのでやめておいた。武士の情けだ。次回は前もってご連絡、一報をこう。見事撃ち落としてしんぜよう。わはははは!」