2018-01-01から1年間の記事一覧

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(4)

反テロ法の拡大解釈 サウジアラビアはイラクやシリアの内戦の影にかくれてあまり報じられないが、90年代からテロが頻繁に起こっている。外国人居留地で英米人が狙われることが多い。10月には、サウジアラビア西部ジッダにある宮殿の西門付近で、男が自動小銃…

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(3)

格差は続く 最近のサウジの事情が知りたく、今年の6月、プラント技術者のTさん(キャリア40年)に数年ぶりで会った。2014年10月〜15年4月まで中東最大のジュベール工業都市でジェット燃料生産プラントの建設現場で働いていた。施工は韓国系の企業でオーナーは…

*仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(2)

事実はマスコミには書けない その日の夜、もっと恐ろしいこんな話をK氏に聞いた。 ある国の駐在員の妻が殺され、第一発見者の夫が疑われて拘置所に入れられ、その国の大使館や派遣企業が解放に手をつくした。けれども、拘置所を出た時には精神に異常をきた…

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(1)

もともとサウジアラビアは、独裁の警察国家である。以前より、フィリピンなどから来る家事手伝いの メイド他は、家族にパスポートをとられ、自由のない暮らしをするどころか、行方不明となることもあった。 フィリピン領事館には不明者捜索の担当官もいた。 …

炎上死した新潮45と劣化するマスコミと社会の行きつく先(2)

少なくとも次の号を出すべきだったのではないか それにしても新潮45がこんな簡単に白旗を上げるとは意外だった。少なくとも、次号で編集長自らが、なぜこのような特集を組んだのか、 なぜそうせざるをえなかったのかを書いて、それを最終号にしてもらいた…

炎上死した新潮45と劣化するマスコミと社会の行きつく先(1)

新潮45が炎上死してしまった。 私の書斎には編集部から送られてきた掲載誌が11冊以上ある。いつから書いたのかを調べて見ると、2006年の12月号だ。 見開きを見ると、そのときの特集記事は「狂宴! エロセレブ」13の怪事件簿。筆者の多くは女性フリーライ…

釜山の甘川文化村の資料を探してみたが(2)

前回までは韓国旅行の前半で、実は最も私が訪れたかったのは、甘川文化村である。ここはスラム開発の世界のお手本となるべき場所だ。 空港の観光案内所でまずは情報を仕入れて見る。釜山は朝鮮戦争で何十万という避難民でごったがえしていたが、その丘に住み…

釜山の甘川文化村の資料を探してみたが(1)

食と温泉 この夏、韓国釜山を訪れた。近隣の国は、せいぜい香港や中国の深センや広東しか訪れたことがない。北東アジアは初めてだった。家族で遊びにいったのである。 しかしのっけの大韓航空機から恥ずかしい目にあった。息子がビールとピーナツをおかわり…

戦場の性の真実 慰安婦のリアルティ3

戦場と戦争こそが格差を残酷にあぶり出す 彼らの駐屯していた山西省の奥地にも、鉄道沿線の街には、芸妓と称する日本のしょうばい女たちも、いなくはなかった。だが、彼女たちは、決して鉄道沿線の街から、生命の危険の多い、もう一つ奥地へはいってこようと…

戦場の性の真実 慰安婦のリアリティの2

田村村泰次郎は生き証人だった 田村泰次郎は、戦後の性風俗を描いた『肉体の門』の作家とされるが、『肉体の悪魔』『裸女のいる隊列』などの事実を反映している、戦場の性を扱った作品のほうにこそ秀作がある。 田村は昭和15年招集され、21年の復員まで、山…

*戦場の性の真実 慰安婦のリアリティの1

戦場は平時の悪が善になり、善が悪になる価値が転倒した世界である。平然と人を殺せる人間こそが英雄となる。モラルは簡単に瓦解する。人の地金が現れる。あるいは人間が人間でなくなる。そんな戦場の性のリアルティを描いたのは作家の田村泰次郎をおいて他…