2011-01-01から1年間の記事一覧

政治崩壊はファシズムへのとば口か

さて、ここを訪れてくれた方々にとって、今年はどんな年だったのだろうか? 私が思うに、日本史には「破壊と喪失の時代」と刻印されることであろう。 津波により人は仕事を、愛する者を、家を喪失した。原発(科学技術)が人から故郷や仕事を奪った。 社会シ…

今日、ホームレスに戻った その10

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★夫婦ホームレスの善し悪しー元NTTのホームレス 最初に橋本さんと出会ったのは、五月の連休だったのではなかろうか。 あの日も暑かった。ゴールデンウィークなのに金もなく遠出ができないおれは長男といっしょにおれ…

今日、ホームレスに戻った その9

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★チンピラホームレス 奥さんが得意げにいった。 「歩き方が似ているから、そうじゃないかって思ったの」 「うちのは目だけはいいからね。噂をすれば陰で、どうしているかなって二人で話していたんですよ。そろそろ来…

今日、ホームレスに戻った その8

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★チンピラホームレス 一般の社会でも隣にヤクザの事務所ができたり、チンピラが移り住んできたりすると、思いがけない災難が降りかかってきたような気がするものだ。ホームレスたちが身元がしっかりしている人間しか…

今日、ホームレスに戻った その7

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★チンピラホームレス おれは、原宿の方角へと歩いていく。広い遊歩道には照明の光がともされた。噴水を超えた側のテント村はひっそりとしている。芝の中で段ボールを敷いてなにか食べているおじさんがいる。タバコを…

東電との前哨戦

今回は風化していくのもいやなので原発関連について書くことにした。次回は、多分またホームレスもの「原宿で遺体を探す」に戻ります。 さて、以下は「愛! フクシマの黙示録」第8話 東電との前哨戦からの抜粋。8月末に閉鎖された「郡山ビックパレット」の東…

今日、ホームレスに戻った、その6

★原宿で遺体を探す ★ブロイラーの呪い ブロイラーがいうには、これという理由もなく飼育場の仕事は二年ほどで親方に解雇され、その後土木作業員になり、ここ一年間はその日暮らしを続けているという。彼の次の言葉はおれにもずっしりと堪えたものだ。 「実家…

今日、ホームレスに戻った その5

★原宿に遺体を探す★ブロイラーの呪い 代々木公園まで歩いていた。 この公園の変遷は時代をまさに象徴している。最初は元大日本帝国陸軍の代々木練兵場。その後占領アメリカ軍施設をへて、東京オリンピックで代々木選手村として使用され、一九六七(昭和四二…

今日、ホームレスに戻った その4

★原宿で遺体を探す ★因果応報ホームレス「いまは路上で寝てるけど、思えば子供の頃はうちみたく畳なんか敷いている家はお大臣でね。普通の家はむしろだったんだよ。靴さえなくて、裸足か、よくて草履だな。まだ戦争をしていたころでね。兄弟? おれは七人兄…

今日、ホームレスに戻った その3

★ 原宿で遺体を探す 渋谷編 本が出て印税も少し出たので、おれは家に戻り、子育てにせいを出しながら、原稿に向かっていた。だが、依然として収入は少なく、うつうつとした日々を送っていたのである。★ 因果応報ホームレス その年の夏も猛暑だった。おれは上…

今日、ホームレスに戻った! その2

上野公園で寝たあともホームレス行脚は続く。まるで現代の山頭火。渋谷、山谷、荒川河川敷、名古屋、大阪。最後に原発家族疎開の西成で見たものは? 本書は震災後の日本人に対する予言の書である。第1話 ホームレスデビューの悲惨 上野編 第2話 原宿に遺体…

今日、ホームレスに戻った その1

長らく、原発関連の件を書いてきた。震災後のぼくができるボランティアのひとつと考えている。けれども半年以上続けているうちに、蓄えがなくなってしまった。 だから10年振りでホームレス界に戻る。 知り合いのフリーのノンフィクション系の作家らは、淘汰…

西川荒川区長の2つの道

西川区長は放射能の問題をのぞいてはよくられている区長だと思う。東電と癒着というが、東電べったりというわけでもなく、自由主義者で発送電分離論者である。また区内に太陽光発電パネルを設置しようという構想だってある。 今回の放射線への対応はまったく…

西川荒川区長からの電話

夜の9時ごろだったろうか。娘が、「電話だよ。なんか区長から、おとうさん、なんか悪いことしてばれたんじゃないの」といって子機を書斎に持ってくる。 電話に出ると、西川区長はこう切り出した。 「ああ、先生には心配かけて申し訳ありません。メールでお…

荒川区長への質問状

西川太一郎荒川区長は、計画停電のときは自ら奔走し、区民のための電池やカンテラを買うなどして、よくやっていらした。顔のきく東電や経産省、エネルギー省にも乗り込んだ。ぼくに「計画停電で費やした費用を東電に請求したい」とまでいっていた。 さすが、…

欠陥原子炉と燃え盛る反原発のうねり

地元浜通りの人々はなにも田中長町のようなおっちょこちょいのバカものばかりではない。むしろ、今の惨劇が来る日をうすうす感じていた多くの予言者がいたのである。 以下の年表にあるとおり、浜通りでは、GEの設計者などよりもずっと早く福島原子力発電所1…

欲望を募らせ、全国を原発で埋め尽くせ

読者の軽いノリの海豚さんが人間は恐ろしいといっているが、そのとおりで、詳しくいえば人間の欲望は怖ろしいというとだろう。 食欲や性欲は肉体という制限があり、無限に膨らむものではない。限度がある。だが物欲と権力浴はどこまでも膨らんでしまう。 せ…

原発は田舎による都会の搾取だった

以前、双葉町の若い女性が「被災地に募金をください」といわれ、「わたしも被災者だ」と答えたところ、出身地を聞かれ、「あなたは被災者でない」と言われたそうである。 20代の女性にはまったく罪はない。 けれども、地元の歴史を知っておいたほうがいい。…

河野太郎衆議院議員は処女のように頑なだった

さて、ここ数日、案外見落としがちな事件がいくつかあった。 ・野田首相は国連で、原発輸出を国是とするといっていること ・電力の送電分離を主張する古賀茂明氏が最終的に解雇されたこと ・山口県上関町長選では、原発推進派の柏原重海町長が圧倒的な勝利を…

3.11震災の謎

3月11日の地震は、一部では人工地震だ、などというむきもあるが、もちろんぼくはそんな意見にはくみしない。技術的な実現性と、動機が現実離れしているからだ。 けれども、やはり、宇宙の偶然とか予兆、あるいは冷徹な意思のようなものを感じずにはいられな…

「長崎の鐘」の謎

「良太君が気づいたんだけど、『長崎の鐘』に唐突な表現が出ててくるの。まるで、暗号みたく、ねえ、良太君」 「うん」 「長崎の鐘って何?」 まことは、ぼくと同様にこの本のことを知らないようだ。 「長崎の放射線学者が被曝したあとで書いた本だよ。原爆…

チェルノブイリハートとクリス・バスビ―博士     

今週、渋谷で「チェルノブイリハート」を見た。 20年以上たって、さまざまな遺伝子の損傷に生まれながら心身が毀損される子どもたちを見るのは、辛い経験である。 ベラルーシのチェルノブイリから80キロの町で、健康な赤ん坊は20%前後だという。 核種の中…

首都大学東京の教授との対話

『看護ジャーナル』なる専門誌で、「低線量被ばくの影響」にかかわる記事を書くことになった。そのとき、首都大学東京放射線学科長の福士政広教授を取材する機会があった。 教授とのやりとりを掲載しようと思う。 その前に、放射線の主要な学説をおさらいし…

原発村のスター

博士は「私は被曝2世です。でもこうして元気です」と始め、スクリーンをちらりと振り返っていった。「『長崎の鐘』の永井隆は、この悲惨な状況の中で、8月,9月、10月と医療支援を行いました。『この惨禍の中で、科学の力、原子のエネルギーで平和の国家を作…

土地価格の怪−福島第一原発―

昔、アマゾンに住んでいたころ、隣町に200坪ぐらいの広さでバスケットコートつきの家が売り出されていた。日本円にして500万円前後だった。 買ってしまうか、と思ったものだ。 同じ広さでもこうも土地の価格は違う。 土地にまつわる経済とは不思議なもので、…

偽善者たちのバカ踊り

首相が決まったけど、少なくとも海江田さんよりはよかったね。彼はほんとただのおべっか使いの操られ人形とますます世間にその姿を晒してしまった。小沢さんに忠誠をつかっていることを示すために、わざわざ、「野党との合意を反故にする」みたいなことをい…

核爆発を隠さなければならない理由

さて、今から60年以上も前の原爆を落とされた時点から、福島第一原発の事故の歴史を調べてみると、予告された原発事故であり、まるでわざと事故を起こしたとしか思えないふしがある。(それは拙著で詳しく述べるが、一部本ブログでも次回より過去にさかの…

日本の原発技術が世界を変える

先週、お知らせした原子力文化の執筆者だが、鈴木光司さんは、らせんやリングの作家なので、ご存じの方が多いだろう。 けれども豊田有恒さんはご存じない方もいるかもしれない。ぼくは、3月の段階でブログに書こうかどうか迷っていた豊田有恒さんも7月号には…

原発ムラに広報を学ぶ

下記は2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」の「これが世論対策マニュアル」なる記事の抜粋である。原発ムラがどのような原理で広報を行い、ぼくを含め国民がいかに洗脳されていったかがよくわかる。 週刊現代あたりには、この件は掲載されたのだろうか? 大マ…

政治に矮小化された更迭

朝日新聞は、4日付けの朝刊に「首相意向」で経産省、原子力安全・保安院長、資源エネルギー庁のトップを更迭した、と半ば誤報を載せた。まさに朝日と管直人首相の最近の関係を物語るものだった。 慌てて海江田経済産業省は「私の考え。人事権は私にある」と…