医療被ばくと比べるのは愚かだ

 医療被ばくは、もともと悪いものである。以前、夕刊紙で、医療系の取材を何年かやっていた。そのときの勢いで「死ぬ確率」という本の一部の原稿を書いた。

 原稿のひとつに、乳がんについて書いたが、調べてみるとその当時のデータを調べるとマンモグラフィの検査度合いが高い地域ほど、むしろ乳がんの死亡率が高いという、逆相関を見つけたことがある(近々、その原稿を掲載します)。

 それはどのような理由なのか調査が必要ではあろうが、私は決してマンモグラフィが癌を予防するとはいえない、と考えたものだ。

 さて同じ書籍から、 

「CTで全身検査を受けると1回あたり1200人に一人ががんで死ぬ。さらに、30年間、毎年検査を受け続けると50人に1人はがんで死ぬ」(アメリカの専門誌「ラジオロジーコロンビア大学

「日本国内でがんにかかる人の3.2%は医療機関での放射線診断による被ばくが原因」(イギリス・オックスフォード大研究グループ)

 10数年前までは、レントゲン過多による癌の増加という話しはよくいわれていた。最近は、学会、医療機器の企業、厚生省の勢力に取り込まれているのか、マスコミに疑う力がなく、そのような話はまったく出てこなくなった。

 もともと身体に悪い医療被ばくと今回の放射線の漏えいとを比べて、何の説明もなく問題なしとする医者やマスコミは、勉強不足か、何らかの意図があると考えたほうがいい。
 
 さて、4月12日の天声人語、「3日間の積算は胸のレントゲン0.2回分。むやみに恐れては「風」の思うつぼだ」とあるが、年間に直すと24回もレントゲンを撮ったことになる。(0.05Msv×24=1.2Msv)。さらに地元民には飲料水や食物による微量の被ばくが加算される。

 取材で訪れるだけならまったく問題ないが、長期に住むと、妊婦や子供には決していいとはいえない。

 人類の生存可能性を問う