原発

偽情報の影響と福島の母親の声

4月11日に20km圏外にある福島県内5市町村(飯舘村・浪江町・葛尾村の全域、および、川俣町と南相馬市の一部地域。対象は約3,000世帯・約10,000人)が計画的避難区域に指定された。 5月23日に福島の親たちが、文部省に集まって、年間20ミリシーベルトの安全基…

3号機爆発のデータ欠落の謎

もうひとつ腑に落ちない情報がある。3月14日午前11時1分3号機が爆発した。1号機(水素爆発 3月12日)の映像とは違う。白い噴煙と黒い噴煙では、爆発の種類が違う。 そう直観したし、そう考えるのが妥当な常識である。専門家は必要ない。核実験を観測するC…

チェルノブイリと福島での小児甲状腺がんの真実

山下教授が参加した旧ソ連でのフィールド調査の結果をさがしてみた。(筆者は若い時に笹川平和財団から原発被害支援関連で、ベラルーシ行きを打診されたことがある)。 インターネットでアクセス可能だった。チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績チェルノ…

3.11と偽情報

戦争・大災害時、あるは激しい政争がある時には、さまざまな情報が錯綜し、偽情報、デマも流れるのが常だ。 だがマスコミにもましてや庶民にはどの情報が事実かを判別するのは極めて難しい。あるいは分かっていても何かを慮って真実を表に出さない。 では、…

放射能音頭

原発爆発一年。ぼくはホームレス界から、別の世界へと旅たった。だが驚くことにここにも日本の放射能が追いかけてきたのである。 一年前を思い出して。 - ぼくは最後になるかもしれないブログを渾身の力で書きあげた。でも深刻ぶるのは好きじゃないので、お…

今日、ホームレスに戻ることにした

一〇時を過ぎた。おれはリックのなかから付箋を取り出し、そこに「奥さんは約束の場所でずっと待っているそうです。つけられないように、いつでもいいから来てください」と書いた。そして財布の中を見た。硬貨ばかりで一〇〇〇円ちょっとしかない。 「じゃあ…

原発ストの明治公園にぼくは逃げた

「あれから大塚は行った? わたしはずっとマイナスイオンやってないからまたアレルギーが出て大変よ」 渡辺さんはおれに半袖から出た腕を見せた。赤いぽつぽつがいたるところにできていた。 「この一年で三〇年分の苦労を背負ったわよ。あの館野さんはどうし…

動き出そうとするチンピラと原発

館野さんと彼らが会ってから三カ月が経過していた。公園に戻る道中で、渡辺さんは彼女のことを思い出した。 「そういえば、あの人、なんてったかしら」 「ああ、館野さん?」 「Tシャツせっかくもらったけど、やっぱり大きすぎたわ。うちのが着ているわ」 …

被災地の10ヶ月後 相馬

昼前に仙台から常磐線の電車で亘理まで行き、線路がまだ普通なのでそこから代行バスで、相馬まで足を延ばした。相馬から南へは放射能の影響で代行バスも出ていない。 冬の浜通りの相馬は、海からの強風が募り、帽子が飛ばされてしまった。まるでパタゴニアの…

被災地の10カ月後 釜石周辺

仙台や松島には何度か訪れたことがある。石巻は初めてだった。 石ノ森正太郎は石巻出身だった。石ノ森萬画館も被災していた。 旧北上川にかかる橋。川を津波が逆流したことがわかる。児童が人災にあった、大川小学校は北上川沿岸にある。小学生には難しいこ…

被災地の10ヶ月後 仙台周辺

絆という言葉が度々使われる。流行語でもある。 災害は確かに血縁や友との縁を思い出させる。 ぼくの従弟は仙台の宮城野区に住む。40数年あったことがない。年賀状だけは来るし、電話の付き合いはある。 昨年の3.11後にすぐに安否を確かめた。数日後に家族…

東電との前哨戦

今回は風化していくのもいやなので原発関連について書くことにした。次回は、多分またホームレスもの「原宿で遺体を探す」に戻ります。 さて、以下は「愛! フクシマの黙示録」第8話 東電との前哨戦からの抜粋。8月末に閉鎖された「郡山ビックパレット」の東…

今日、ホームレスに戻った、その6

★原宿で遺体を探す ★ブロイラーの呪い ブロイラーがいうには、これという理由もなく飼育場の仕事は二年ほどで親方に解雇され、その後土木作業員になり、ここ一年間はその日暮らしを続けているという。彼の次の言葉はおれにもずっしりと堪えたものだ。 「実家…

今日、ホームレスに戻った その3

★ 原宿で遺体を探す 渋谷編 本が出て印税も少し出たので、おれは家に戻り、子育てにせいを出しながら、原稿に向かっていた。だが、依然として収入は少なく、うつうつとした日々を送っていたのである。★ 因果応報ホームレス その年の夏も猛暑だった。おれは上…

西川荒川区長の2つの道

西川区長は放射能の問題をのぞいてはよくられている区長だと思う。東電と癒着というが、東電べったりというわけでもなく、自由主義者で発送電分離論者である。また区内に太陽光発電パネルを設置しようという構想だってある。 今回の放射線への対応はまったく…

西川荒川区長からの電話

夜の9時ごろだったろうか。娘が、「電話だよ。なんか区長から、おとうさん、なんか悪いことしてばれたんじゃないの」といって子機を書斎に持ってくる。 電話に出ると、西川区長はこう切り出した。 「ああ、先生には心配かけて申し訳ありません。メールでお…

荒川区長への質問状

西川太一郎荒川区長は、計画停電のときは自ら奔走し、区民のための電池やカンテラを買うなどして、よくやっていらした。顔のきく東電や経産省、エネルギー省にも乗り込んだ。ぼくに「計画停電で費やした費用を東電に請求したい」とまでいっていた。 さすが、…

欠陥原子炉と燃え盛る反原発のうねり

地元浜通りの人々はなにも田中長町のようなおっちょこちょいのバカものばかりではない。むしろ、今の惨劇が来る日をうすうす感じていた多くの予言者がいたのである。 以下の年表にあるとおり、浜通りでは、GEの設計者などよりもずっと早く福島原子力発電所1…

欲望を募らせ、全国を原発で埋め尽くせ

読者の軽いノリの海豚さんが人間は恐ろしいといっているが、そのとおりで、詳しくいえば人間の欲望は怖ろしいというとだろう。 食欲や性欲は肉体という制限があり、無限に膨らむものではない。限度がある。だが物欲と権力浴はどこまでも膨らんでしまう。 せ…

原発は田舎による都会の搾取だった

以前、双葉町の若い女性が「被災地に募金をください」といわれ、「わたしも被災者だ」と答えたところ、出身地を聞かれ、「あなたは被災者でない」と言われたそうである。 20代の女性にはまったく罪はない。 けれども、地元の歴史を知っておいたほうがいい。…

河野太郎衆議院議員は処女のように頑なだった

さて、ここ数日、案外見落としがちな事件がいくつかあった。 ・野田首相は国連で、原発輸出を国是とするといっていること ・電力の送電分離を主張する古賀茂明氏が最終的に解雇されたこと ・山口県上関町長選では、原発推進派の柏原重海町長が圧倒的な勝利を…

3.11震災の謎

3月11日の地震は、一部では人工地震だ、などというむきもあるが、もちろんぼくはそんな意見にはくみしない。技術的な実現性と、動機が現実離れしているからだ。 けれども、やはり、宇宙の偶然とか予兆、あるいは冷徹な意思のようなものを感じずにはいられな…

「長崎の鐘」の謎

「良太君が気づいたんだけど、『長崎の鐘』に唐突な表現が出ててくるの。まるで、暗号みたく、ねえ、良太君」 「うん」 「長崎の鐘って何?」 まことは、ぼくと同様にこの本のことを知らないようだ。 「長崎の放射線学者が被曝したあとで書いた本だよ。原爆…

チェルノブイリハートとクリス・バスビ―博士     

今週、渋谷で「チェルノブイリハート」を見た。 20年以上たって、さまざまな遺伝子の損傷に生まれながら心身が毀損される子どもたちを見るのは、辛い経験である。 ベラルーシのチェルノブイリから80キロの町で、健康な赤ん坊は20%前後だという。 核種の中…

首都大学東京の教授との対話

『看護ジャーナル』なる専門誌で、「低線量被ばくの影響」にかかわる記事を書くことになった。そのとき、首都大学東京放射線学科長の福士政広教授を取材する機会があった。 教授とのやりとりを掲載しようと思う。 その前に、放射線の主要な学説をおさらいし…

原発村のスター

博士は「私は被曝2世です。でもこうして元気です」と始め、スクリーンをちらりと振り返っていった。「『長崎の鐘』の永井隆は、この悲惨な状況の中で、8月,9月、10月と医療支援を行いました。『この惨禍の中で、科学の力、原子のエネルギーで平和の国家を作…

土地価格の怪−福島第一原発―

昔、アマゾンに住んでいたころ、隣町に200坪ぐらいの広さでバスケットコートつきの家が売り出されていた。日本円にして500万円前後だった。 買ってしまうか、と思ったものだ。 同じ広さでもこうも土地の価格は違う。 土地にまつわる経済とは不思議なもので、…

偽善者たちのバカ踊り

首相が決まったけど、少なくとも海江田さんよりはよかったね。彼はほんとただのおべっか使いの操られ人形とますます世間にその姿を晒してしまった。小沢さんに忠誠をつかっていることを示すために、わざわざ、「野党との合意を反故にする」みたいなことをい…

核爆発を隠さなければならない理由

さて、今から60年以上も前の原爆を落とされた時点から、福島第一原発の事故の歴史を調べてみると、予告された原発事故であり、まるでわざと事故を起こしたとしか思えないふしがある。(それは拙著で詳しく述べるが、一部本ブログでも次回より過去にさかの…

日本の原発技術が世界を変える

先週、お知らせした原子力文化の執筆者だが、鈴木光司さんは、らせんやリングの作家なので、ご存じの方が多いだろう。 けれども豊田有恒さんはご存じない方もいるかもしれない。ぼくは、3月の段階でブログに書こうかどうか迷っていた豊田有恒さんも7月号には…