今日、新しい駐在員がやってきた。

所長の僕がわざわざ空港に迎えに行くこともなかったんだけど、今日は一日何も予定が入ってなかったので迎えに行った。

ラテンの国では当たり前のことだから、予定よりも2時間ぐらい遅れて行ったんだ。そうしたら、案の定、空港のロビーで、新しい駐在員はブツブツ言いながら怒ってた。


遅い、何やってんだ。だから所長は南洋ボケって言われているんだ!


早く迎えに行こうと、運転手のズンビーノが心にもないことを言っていたんだけど、これも教育だと思ってラテン流で迎えに行ったんだ(本当は新しい取引先の秘書を口説いていて遅くなったんだけど、この事実は墓場まで持っていくことにしよう)。

日本からはちょうど地球の裏側にある、このラテンの国は、文化も習慣も日本とはまったく異なっている。だから、コテコテの日本人が初めてこの国にくると、とまどってしまう。

とまどうくらいならましなほうだ。生真面目すぎる日本のビジネスマンだと、イライラしすぎて胃に穴があいちゃうかもしれない。

でもね。この国の人たちに振り回されているうちに、気がつくことがあるんだ。


この国の人たちの生き方のほうがまっとうなんじゃないか
ってね!


この国の人たちは、まず自分ありき。仕事なんかそっちのけで、家族や友だちとのつき合いを優先して生きている。だから、どんな苦しい環境でも毎日を楽しく生きている。

僕はそんな生き方にどっぷりはまってしまったんだ!

典型的な日本のビジネスマンだった僕が、ラテン流の生き方を身につけるまでのストーリーは、僕が主人公の物語『ラテンの秘伝書』に書いてあるので、この日記では、その本に書けなかったことや、もっと書きたかったことを書くことにしようと思う。

まあ、ラテンの伊達男を目指している僕のことだから、毎日こつこつ書くなんて、できるかどうかわからないけど……。

おお、そろそろ、今夜のフィエスタが盛り上がっている頃だから、新しい駐在員がどんな顔しているかのぞきに行くことにしよう。


ケ・テ・バーヤ・ビエン!



ラテンの秘伝書―格差社会を生き抜く最後の切り札

ラテンの秘伝書―格差社会を生き抜く最後の切り札