日本、ベネズエラ 危機に瀕する民主主義


 
 選挙結果は日本でも報道されたと思うが、賛成SI 54.36%、反対NOが45.63%でチャベスの勝ち、次の選挙にもチャベスは立候補できるので、選挙資金と活動する人の面で圧倒的に有利な与党、を考慮すると終身大統領への道を開いたといえる。

 さて、なぜこれほど差がついたのか? もう一度、チャビスタとは誰か? 反対派とは誰か? を確認してみたい。

 チャビスタ
 ・貧者(バリオの人々)
 ・地方、田舎の農民他住民
 ・国営企業他政府系企業の社員
 ・チャベスしか知らない一般の若者(テレビ局のほとんどはチャベス派;政府認可事業なので反対派局は閉鎖。一局、GLOBOVISIONのみが反チャベスでがんばっている)
 ・軍人

 反対派
 ・大都市の住民(今回もカラカス首都圏は、NO!が勝った)
 ・私企業の社員、中産階級
 ・国営企業以外のテクノクラート
 ・知識人、新聞関係者(新聞はほとんどが反チャベス
 ・民主主義とは何かを知っている大学生
 ・伝統的な金持ち支配層(ORGALQUIA)


 この人口比はどのぐらいなのか、いつか調べてみたいが、拮抗しているように思われる。前回の憲法改正選挙ではチャベスは負けたのだから、一定の浮動票があるのである。
 この浮動票をどちらかに取るかが選挙運動の目標となる。すると誰が有利なのか?

 反対派は選挙結果を得て、選挙に与党が政府資金利用禁止の法案を用意するという。

 大量の石油の売り上げはすべてチャベスの懐にある。どう使おうが勝手である。
 一時話題になって、いまだマイアミで審理中の疑獄事件、「スーツケースの男」(詳細は後に記載)がある。
 ベネズエラ国営石油会社の元社員他がアルゼンチンの空港で外為法違反で捕まったのである。スーツケースの中には4億円が。

 すべて現アルゼンチン女性大統領クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前ファーストレディーがアルゼンチン初の女性大統領に就任 写真17枚 国際ニュース:AFPBB News(の2007年の選挙資金のための費用である。金は国営石油会社から出ている。
 
 他にも税関を通ったスーツケースがあり、その中にも4億円が。他にもっとあり、それはどこにいったか、分からないという。もちろんチャベスの指示である。

 たまたまこの資金調達にかかわった人間が米国籍であったため、マイアミで捕まった。もちろん米国は、CIA, FBIを動員して、この件を徹底的に調査、盗聴。これらはベネズエラの新聞、グローボビション(テレビ局)でも細かく報道された。

 日本やアメリカならば、これで政権はアウト、転覆であろう。けれどもベネズエラではこれぐらいのことでは、びくともしない。

 国の金=大統領の金

 という歴史的常識が人々の脳裏に浸透し、当然のことのように思われてしまっているのである。慣れとは恐ろしい。

 翻って日本。小泉、安部、福田、麻生、すべて政治家二世であり、日本は完全世襲制の体制となってしまった。これでは北朝鮮ベネズエラを笑えない。少なくともベネズエラ世襲制ではない。

 ベネズエラでは政府による国の金の運用禁止、日本では二世政治家禁止の法案が必要である。さもないと民主主義は機能しない。

 さて、硬い話題が続いた。今はカーニバル。次はカーニバルと女性の話題としようか。