ぼくは普段は楽観的な人間である。あまり悲観的なことを述べるのは好きではない。だが、危機的状況では逆に悲観的にならなければ生き抜いていけなことを、途上国の劣悪な環境や犯罪社会の修羅場で暮らし働いていてきた経験から知っている。
現在、マスコミは放射能汚染水に注目している。同じことばかり書いたり、報道すると読者に飽きられるということもあろう。
だがこの汚染水の除去も大切だが、本質ではない。迫る危機はメルトダウンと付随する水蒸気爆発の可能性だ。素人でも論理的に考えればわかる理屈である。
1.1−3号機、とりわけ2号機は放射能汚染の水をあれだけ出しているのだから、圧力容器も格納容器も損傷していると考える自然である。
2.冷却材を喪失し、炉心が晒されていた状況から、炉心溶解が生じる。圧力容器の設計上限温度は302度とのことだが、すでに何度もその温度を超えている。格納容器の設計上限温度は138度だという。
3.したがってメルトダウンする可能性は高い。溶けた燃料棒は圧力容器、格納容器をつきやぶり、溶融物といっしょに地下へ落下する。
4.溶融物がどこかの水と反応し、水蒸気爆発を起こす。
これが最悪シナリオだろう。短期的には以下3つのシナリオが想定されるが、今のところ原子炉の温度や圧力は安定しているとの報道もあり、Bに収まってもらいたいものである。
けれども、危機のときは専門家と称する者もマスコミも誰もが根拠のない楽観論に与しやすい。とりわけ日本人はそうだ。現実を直視する勇気と知性に欠ける。
A楽観:海水を汚染せずに、メルトダウンによる最悪シナリオを避けられる。
B普通:一層海水が汚染させるが、メルトダウンによる最悪シナリオは避けられる。
C悲観:海水を汚染し、メルトダウンののち、水蒸気爆発
新たな知識と情報
サンドダスト: 欧州の原発の中には、もしものときにベントする場合を考えて、巨大な砂の入ったダストが装備されているものがあるとのこと。日本の場合は、「日本の技術をしてそんなことがあるわけがない」と考慮にも入ってさえなかった。さらに東電は「ベントのためのバルブの必要もなし」としていたのだから、恐れいるのである。誰もが思いあがっていたのである。
被災者受け入れ:東電は豊富な福利厚生施設で避難民受け入れとのこと。時事の記事が効いたか。マスコミは東電と原子力村にプレッシャーをかけ続けろ。ぼくも昨日この件は東電に尋ねている。
再臨界:中性子が検出されたので、再臨界が何度かあったかと推定されたが、実は使用済み燃料をトラックなどで移動するときにも検出されるとのこと。だから、臨界になったと考えるのは早計(海老沢徹 元京都大原子炉実験所)。
飯舘村避難助言:飯舘村民にIAEAが避難を助言している。すでに10日以上放射能レベルの高いところにいるのだから、その助言は遅すぎる。
もちろん、この国の政府は何らの処置もしないだろう。昔からそうだが、危機的条件においてこの国の政府は国民の健康と命を守ってはくれない。もちろん、ぼくぐらいの中年のおっさんは、避難せずともいいのかもしれない。すでに子供と妊婦はずっと前に自主避難しただろうが。この件も僭越だが3日前に飯舘村にメールを送付した。以下参考記事が出た。
土壌汚染「チェルノブイリ強制移住以上」
しかしこのような自然の美しい村―美しい自然が残っているからこそセシウム濃度が高いという矛盾―を破壊した原子力村の罪はとてつもなく深い。
知性と倫理:「もんじゅ」運転再開に反対する学者有志一同。東大や東工大や京大にも知性と倫理を持つ人間はいたぞ。犯罪者ばかりではなく、彼らをテレビに出せ!
最悪シナリオはどこまで最悪か
人類の生存可能性
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