日本人であることの恥ずかしさ

 私は途上国を中心に30カ国ほどで、開発関連の調査に携わってきた。理系の技術者ではないが地域開発や社会環境の整備、援助の評価などを行ってきた。今、こららの国々の知人、友人にあわせる顔がない。

 日本の技術や組織をそのまま移転するわけではないが、バックグランドは世界からの日本の技術、社会、文化に対する信頼があったこそ、世界は私を受け入れてくれたのである。

 世界で働いてきた多くの日本人が私と同じ恥ずかしさを感じているはずだ。
 すなわち、

1.東電村も政府もマスコミも事故のさなかでさえ、「安全です」「ただちに問題ありません」というデマを日本と世界に流し続けた。

2.与党も野党も国が危機に瀕するときでさえ、党利党略から見え透いた権謀術数を弄し、 災害に対する初動が遅れた。

3.人類史上最大の無責任企業、東電はいつものとおり他者の人命よりも、利益、隠ぺい、責任回避を第一に考え、そのことが結局は災害が拡大させ、結局は自らの首を絞める結果となった。

4.これらにより、打つ手がすべて遅きに失し、もっとも放射線量が高かったときに、住民の避難を指示せずに、被害の拡大と住民の健康、とりわけ乳児、子供、妊婦の健康を顧みない状態となり、いまだそれが続いている。さらに世界中の大気と太平洋を放射能で汚染した。

5.このような状況下、東電の中には「なにをいまさら、おれたちのおかげで地元は潤ったし、おれたちが電力を供給していたんだろう。停電ぐらいでぶつぶついうな」そん思いあがった心情が見え見えの社員も中にはいる。東電が福島第一原発の設計図を所持しているかどうか不安である。

6.福島県知事佐藤雄平は自らも原発村の一員であるくせに、県民に謝りもせずに、被害者としての怒りのポーズをとり続け、しかも放射線健康リスク管理アドバイザーに原発村一員長崎大学の山下教授を受け入れた。

 いまだ、山下をはじめとする原発村一派の医者は「ただちに健康に害はありません」と言い続け、今後の原発建設を進めるとともに、賠償賠償金額を最小化しようと活動している。山下は原子力損害賠償紛争審査会の委員である。

7.マスコミの多くは事実を報道しない。被災地の一時的に放棄された家やコンビニ他が盗難にあっていること報道しない。死体泥棒までいる。日本では暴動がないという美名ばかりが世界と国内に流れた。

 もちろん、他者を慮る被災された方々、他者のために命を賭した方々が多数いたのも事実である。だからこそ、事実を伝える必要がある。

8.節電に関しても、多くのテレビ局が言及するのは自動販売機についてだけである。なぜ、パチンコに言及しないのか。そのわけは? 

9.先の戦争と同じで、福島原発で現在働く人々への補給体制がまったくなっていない。まるで食糧は現地調達とした太平洋戦線のようだ。さらに、避難地域の牧畜業に対して、政府は臨時の代替地を見つけ、なぜ家畜用のトラックを差し向けないのか、理解に苦しむ。

10.福島県民へのいわれのない差別が一部で行われている。とりわけ、子供への差別は重大である。長らく心に傷がつく。子どもは悪気のない残酷さを持つが、そのような差別は、大 人、親の影響から発せられたものである。
 福島県の子供にはまったく罪はない。この社会を作ってきたのは我々大人なのである。

 私たち日本人はこの日本文明と民族の敗戦を謙虚に認め、国の根幹を今度こそ変えねばならない。アメリカが手伝ってくれてはいるが、GHQは今回はいない。明治維新のように自らの手で改革する必要がある。では、世界に流れる汚名を挽回するためには、何をすればいいのだろうか? 

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