豚インフルエンザと黒魔術

 3月〜4月にかけて異常に多忙であった。現在の本職が忙しいだけではなく、現在発売中の『新潮45』5月号に掲載の「光が消えた日 中途失明という絶望との闘い」 のゲラを確認し、マイアミ経由で日本に短期一時帰国し、日本の桜を見て、ベネズエラへとんぼ返り。気づいてみれば、世界は豚インフルエンザで大騒ぎである。

 さて、このインフルエンザ、ぼくが大学時代に留学していた、メキシコはベラクルス州のとある村で3月から4月初めにかけて最初に発生した可能性が強い。 インフルエンザじたいは今のところ強毒性ではないようだが、なぜこれほどメキシコに死者が出ているのだろうか。致死率がなんと10%近いが、多分、このような状況なのだろうと想像される。

「おい、娘の様子がおかしいな。ただの風邪だと思ってほっておいたのに。保険病院はどうせいっても薬もないしと思っていたけど、こんなに熱がつづくんじゃ、まずい。とりあえず病院にいってみるか。おれも熱が出てきたし」

「でも、おまえさん、どうせ行くなら、私立のクリニックで見てもらおうよ。こんなにせきが続いているんだから」

「でも、金はないし、どうするんだ。兄貴も貸してくれないみたいだし。ちぇ、やっぱ、つけで、ロドリーゴに見てもらおうか」

 ロドリーゴとは、ジャングルから出てきて、同じスラムに住む呪術・薬草師である。

「でも、シティ(メキシコシティ)じゃ、薬草も入らないし、あれ、おまえさん、娘の様子が、息が、ごほごほ、息がない!」

 さて、貧困化が一層進む日本でも、これは対岸の火ではない。実に30万世帯以上が無保険家庭なのである。

 しかるに政府は貧乏人を一層苦しめる政策しかとらないようである。年金未納者は国保を使えなくする試案があったのである。(現在はどうなっているのだろう)。

 貧乏人は死ねということだ!
 こんなときにラテンアメリカで頼りになるのは、いわゆるアフリカ系の宗教から発生している呪術師、日本では黒魔術といわれている類である。

 ぼくは黒魔術を行う女性にブラジルで一時飼われていたことがあるし、エクアドルでも呪術師にみてもらったことがある。

 このベネズエラに南米でも巨大なその聖地があるとは知らなかった。次回は黒魔術について。(写真はベネズエラ Maria Lionza教団の聖地にて、憑依する女性)



以下ご参考
 
毎日新聞 2006年1月4日 
国民健康保険:全医療費を自己負担、「無保険者」が30万世帯超 04年度】
 国保滞納対策「資格証明書」、00年度の3倍を交付 −04年度・毎日新聞全国調査
http://www.mainichimsn.co.jp/science/medical/news/20060104ddm001100045000c.html
 国民健康保険料の長期滞納を理由に、医療費の全額自己負担を求められる資格証明書を市町村から交付され、保険証を使えない「無保険者」が04年度、全国で30万世帯以上に達したことが、毎日新聞の全国調査で分かった。資格証明書は滞納対策とされ、交付数は00年度の3倍に増えたが、滞納世帯数は逆に上昇。どの自治体も同じように国保財政が悪化する中、交付数に大きな格差も出ている。国民皆保険制度の根幹が揺らいでいる。

●読売新聞 2006年1月4日
【年金未納なら医療費は全額自己負担に、厚労省が検討】
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060104ik01.htm
 厚生労働省社会保険庁は3日、国民年金の長期未納者と長期未加入者について、国民健康保険国保)を使えなくする措置を導入する方向で検討に入った。国保が使えなくなると、医療機関に受診した場合の患者負担は全額自己負担になる。年金の未納・未加入者に対する事実上の罰則規定を設けるものだ。実施の具体的な基準を詰めたうえで、早ければ2007年度から実施したい考えだ。