ベネズエラに住み、働くということ  

latinos2009-06-07


 


  世銀の調査では、ベネズエラのビジネス環境は世界190位前後だった。
  中南米では最低である。   

 カラカスに着くと、石油のお金で潤っているので、街は高層ビルも多く、先進国のようにも見える。だが少し住めば
この国は、まったくの偽装近代国家であることがわかる。


 インフラ状況は、

 ほかの途上国と同様に、月に2−3回の停電。

 突然水が出なくなる。

 電話は通じない。
 通じても誰も出ることがない。だから、結局は出向く必要がある。

 インターネットは始終通じなくなる。

 なぜかわからないがトイレのドアがあかなくなる。

 部屋にすえつけのいすが日々壊れていく。

 ヤカンからお湯を注ぐとかならずコップの中にすべて入らずに
 ヤカンの下部へとたれていく。

 洗濯機がなぜか踊る。 

 買い物の支払いに一人10分以上かかる。スーパーのキャッシャーは長蛇の
 行列。

 ビジネスは、
 
 手順がふたつ以上あると必ず失敗する。

 銀行振り込み口座を間違える。
 
 働かない。

 同じ失敗を100回繰り返す。

 約束しても人と人が会えることがすくない。理由は、道路が混雑、交通事故、
 時間を取り違える。うそだった。


 ビジネス環境の悪化に輪をかけるのはチャベス政権である。

 
 政府は支払わない。政府系企業も支払わない。彼らは借金だらけ。借金が溜まった会社は
 無理やり国有化する。

 だから私企業は政府系企業とはかかわらない。かかわりたくない。だが大企業の多くは国有化
 され、政府系企業だ。

 しかも、土地は私有権がないとされる。だからいつ、接収されるかわからない。


 100年以上前に日本に来た宣教師は、この国は近代国家となると想像したようだ。

 ベネズエラに関して言えば、この国はあと100年たってもいわゆる近代国家にはならない。

 けれども日本と比べて国民のどちらに幸福感が強いかというと、残念ながらベネズエラであろう。
 
 日本は、

 利便性の罠、効率追求の罠、経済合理性の罠、死忘却の罠、無縁の罠、仕事優先の罠

 それらの罠にはまっている。

 逆にベネズエラは、

 不便、非効率、経済不合理、交通事故殺人による身近な死、他の途上国や別の南米ほどではないが、親戚、
 友人、仲間との付き合いがある(無縁ではない)。仕事は二の次で、人間にはもっと大事なことがあることを
 知っている。

 早い話が、物事はすべてがうまくいかない、利便ではない、だからこそ生きている実感があるのである。
 
 あるいは、仕事は絶対うまくいかない、そんな無駄なことをで人生を浪費するならば、早く帰って恋人や友人や家族と過 ごしたほうがいい。 


 ぼくのように日本企業で働いていると、日本的価値観を日本から押し付けられるので、その意味ではとってもやりにくい のである。

 多くの日本人にはまったく理解できない世界であるのだから。

 写真は、盛大な誕生日のパーティ