世銀の調査では、ベネズエラのビジネス環境は世界190位前後だった。
中南米では最低である。
カラカスに着くと、石油のお金で潤っているので、街は高層ビルも多く、先進国のようにも見える。だが少し住めば
この国は、まったくの偽装近代国家であることがわかる。
インフラ状況は、
ほかの途上国と同様に、月に2−3回の停電。
突然水が出なくなる。
電話は通じない。
通じても誰も出ることがない。だから、結局は出向く必要がある。
インターネットは始終通じなくなる。
なぜかわからないがトイレのドアがあかなくなる。
部屋にすえつけのいすが日々壊れていく。
ヤカンからお湯を注ぐとかならずコップの中にすべて入らずに
ヤカンの下部へとたれていく。
洗濯機がなぜか踊る。
買い物の支払いに一人10分以上かかる。スーパーのキャッシャーは長蛇の
行列。
ビジネスは、
手順がふたつ以上あると必ず失敗する。
銀行振り込み口座を間違える。
働かない。
同じ失敗を100回繰り返す。
約束しても人と人が会えることがすくない。理由は、道路が混雑、交通事故、
時間を取り違える。うそだった。
ビジネス環境の悪化に輪をかけるのはチャベス政権である。
政府は支払わない。政府系企業も支払わない。彼らは借金だらけ。借金が溜まった会社は
無理やり国有化する。
だから私企業は政府系企業とはかかわらない。かかわりたくない。だが大企業の多くは国有化
され、政府系企業だ。
しかも、土地は私有権がないとされる。だからいつ、接収されるかわからない。
100年以上前に日本に来た宣教師は、この国は近代国家となると想像したようだ。
ベネズエラに関して言えば、この国はあと100年たってもいわゆる近代国家にはならない。
けれども日本と比べて国民のどちらに幸福感が強いかというと、残念ながらベネズエラであろう。
日本は、
利便性の罠、効率追求の罠、経済合理性の罠、死忘却の罠、無縁の罠、仕事優先の罠
それらの罠にはまっている。
逆にベネズエラは、
不便、非効率、経済不合理、交通事故殺人による身近な死、他の途上国や別の南米ほどではないが、親戚、
友人、仲間との付き合いがある(無縁ではない)。仕事は二の次で、人間にはもっと大事なことがあることを
知っている。
早い話が、物事はすべてがうまくいかない、利便ではない、だからこそ生きている実感があるのである。
あるいは、仕事は絶対うまくいかない、そんな無駄なことをで人生を浪費するならば、早く帰って恋人や友人や家族と過 ごしたほうがいい。
ぼくのように日本企業で働いていると、日本的価値観を日本から押し付けられるので、その意味ではとってもやりにくい のである。
多くの日本人にはまったく理解できない世界であるのだから。
写真は、盛大な誕生日のパーティ