私は文部省の担当者に電話をかけ、自主避難をした事情と東電の回答を説明し、そして原子力損害賠償制度の概要について聞いた。
「東電は原子力損害賠償制度をたてに、保障できないときいたんですが、どういうことでしょうか?」
「JCOの事故のときは避難勧告の場所に対するものでしたが、今回はずいぶん事象が違いますし、いずれにしろ紛争審査会を立ち上げてから、となります」
「それはどこがいつ頃やるんですか、他の省庁も入るわけですか?」
「文部省ですが、まだいつになるかはまだわかりません」
「それならば、自主的避難でも保障が出るということでしょうか」
「そのへんは、明確ではありません」
「今この制度の説明のホームページを見ているのですが、無限責任とありますが、その意味は?」
「それは1200億円までは、制度、保険から支払うということです。それ以上は原発運用者、東電さんになります。それでも払えない場合は政府が払うということになるのでは」
「無過失責任というのはどういうことでしょうか」
「たとえば、メーカーが不良品を納入したが、運用者がそれをわからなかったとしても、つまり運営者側に責任があるということです」
つまり、東芝や日立やGEではなく、東電に責任があるということだ。そしてそれでも支払えなくなれば国(つまり国民の税金)で支払うことになる。
「すると疎開費用の窓口は、まずは東電さんになるわけですね」
「そうです」
「窓口はもしご存じでしたら」
「まだ、東電にはないということです。今回は収まっていないのでということでしょうが、そういう苦情が多いので(言外に早くその窓口を作れといっている)、それができたときには、報道でも発表されると思いますよ。いずれにしろまた何かあればお尋ねください」
係長クラスにもならない若い役人だろうが、とても丁寧に教えてくれたのだ。官僚は基本的に頭もよく、話の通りは良い。こんなときこそ、彼らを活用しなくてはならない。
わかったのは、東電は意図的だろうが、意図的でなかろうが嘘をいっているのだ。ぼくも機会を見てまた東電には電話をしなければならない。当然だが、自主避難の人間に対しても東電は責任を持つ必要がある。
けれども、出てきた文部省の役人は若いので、官邸が何を考えているかまで情報は入ってきていないだろう。
自主避難という無責任な逃げ口上は、保障にもかかわっていることは間違いない。
30キロ圏内の人が避難しないことで、将来健康被害があっても、自己責任として知らぬ存ぜずを決め込み、避難したとして、もしその人が津波の被害にあっていなければ、保障の対象にならないというわけだ。
今だって、仕事もできない被災者に対して、一時金はだれがいつどう払うのだろうか?
こんな日本的な曖昧な言い方は、後々多くの係争を生むだろう。金にかかわってくるとすると、周辺地域の放射能汚染量が改ざんされないかと心配になる。この件の真意は枝野殿に聞くほかはあるまいが、さて官邸の記者会見の参加はどうすればいいのか?
それにしても、避難なら避難と
はっきりしろ、管直人総理!
参考:
テレビの中には正気に戻ってきたところもあるようだ。東電からのコマーシャルはもう期待できない。あっという間に債務超過に陥るだろう。金の切れ目が縁の切れ目。新聞は? 東京新聞だけなのだろうか。
テレビ朝日 武田邦彦中部大学VS東大、京大
人類の生存可能性 Twitter