何かおかしい、山下俊一長崎大学教授ほか、原発擁護3人組

妊婦と0歳児は、50−60キロ圏内でも長く生活するのは危険が伴う。退避すべきである。また、マスコミは是非、下記のヨーロッパでのセシウム137のチェルノブイリの研究結果を発表してもらいたい。

原発村はセシウム137は安全というが、微量でも悪影響が出ているのだ。

 ぼくは、日本財団の緊急シンポジウム「福島原発事故 誰にでもわかる現状と今後」に出席した。
 講演者は、山下俊一長崎大学大学院教授、前川和彦東大名誉教授、神田玲子放射線医学総合研究所 上席研究員である。

 まずは山下教授。専門家なのだから、正直だし、現場でもあたりまえだが役に立つ方である。話もうまいし、おべっかもうまくいう。きっと生き方がうまい人なのだと思う。上からも下からも彼は受けがいいだろう。

 けれども、やはり何かおかしい。彼を含めこの3人。

 山下教授は「日本の素晴らしい技術で制御棒が入りました」というのである。あれ?
停めるはできても、冷やす、閉じ込めるがろくにできていないのではないか。正気とは思えない。
 それを日本の素晴らしい技術というのはどうかしている。

 なるほど、甲状腺がんについては、教授のいうとおりだろう。けれども、白血病はどうか。白血病チェルノブイリで2名しかいないという。しかし、教授が現地に入ったのは、1991年である。白血病の発病はセシウムがまき散らされたその後の1、2年がピークを迎える。チェルノブイリの爆発は86年である。

 ぼくは彼にこう聞いた。
「もし美人の奥さんと0歳児に福島市にいると仮定したならば、実際、先生は住み続けますか。なぜなら200万人ほどを対象とした疫学調査があるからですギリシア、イギリス、ドイツで幼児の白血病は43%増加。しかも0.067mシーベルトと微量であってもです」(ベラルーシの話ではないのだ)

 彼は答え方もそつがない。
「私はよくわかった人間だからたぶんいると思います。でも、乳幼児、妊婦は注意が必要なので、逃げてもいいのではないかと思います。個人のリスク対応は違いますから」

 一人で時間を使うのも悪いのでそれ以上質問するのはやめたが、私がいう調査対象になった幼児については81年―85年の内部被ばくなし、86年―87年の内部被ばくあり、88年―90年の内部被ばくなし を比較している。題名は医学論文で長たらしいのだが、

Very Low Dose Fetal Exposure to Chernobyl Contamination Resulted in Increases in Infant Leukemia in Europe and Raises Questions about Current Radiation Risk Models

 これらの比較から86年―87年の白血病の値は、43%の上昇となっている。そして、リスクを過少に見積もっているとして、ICRP(国際放射線防護委員会)の調査に疑義を呈している。
 
 もちろん白血病にかかるのは、たとえば100万人に40人という数値となるので、多くはない。だが、それが自分の子供だったらどうだろうか? 明日、この調査の結論を翻訳して掲載する。だれもが安心して生活したほうがいいのだ。

 なお、テレビ朝日の女性記者だと思うが最後に場違いのようだが、いい質問をしている。
原子力の転換期と思いますが、地震国の日本の原子力は長期的にどうするべきか、と思いますか?」 
 その質問への3人の答えの要約は以下。

前川和彦 東大名誉教授:
 原発なければ近代的生活は営めない。電気がなくて今病院は大変だ。代替エネルギーが今の電力量を供給できない限り、原子力に頼るしかないのが私の信念です。

山下俊一 長崎大学大学院教授:
 原子力もツール。地球外に出る宇宙船が出る時代がくる。人口環境を作る時代がくる。放射線から身体を守る必要があります。科学の進歩に期待。原子力含めてあらゆる代替エネルギーの進歩が必要。賛成反対はしません。   

神田玲子 放射線医学総合研究所 上席研究員:
 自然エネルギーはすばらしいが、30年前たっても私たちの電気が賄えない。やっぱり原子力エネルギーにかわるものがない。 

 私は原子力発電に、注意を多く払ったわけでなかったし、無関心に近かった。しかし、日本人が原子力を制御できる能力がない、と確信した今となっては、これ以上原子力発電所はいらない。

 福井の高速増殖炉もんじゅ浜岡原発は停止を早急に検討し、そのほかは対策を強化し、だましだまし利用するしかない。その間に代替エネルギーを促進し、規模の経済で利用料が安くなるまでは、多少電気代が上がっても甘受する。
 それが普通の常識ある態度だと考える。
 さて、講演が終わると、恒例の名刺交換だった。ぼくは名刺交換はあえてしなかった。今のところ取材対象者とは距離が必要と考えるからである。
 他の大手マスコミはせっせと、名刺交換していたが、彼らに取り込まれないように願うのみだ。マスコミ大政翼賛会を作ろうとする勢力に要注意!

日経ビジネスを疑え

 心あるマスコミ関係者へ:別の取材が決まりましたが、いつでも福島に行きます。ご連絡ください。風樹茂

 人類の生存可能性を問う