計画停電の真相

 最初荒川区だけが停電と聞いたとき、われら家族は叫んだ! 「おれたちだって人間だ!」
 私はなにお隠そう、恥ずかしながら東京荒川区の区民なのである。
 私が推測したのは、副社長と担当の間でこんな会話があったということである。

「やっぱ、荒川区だけでは、まずいすよ」
「そうだな」
「このへんも入れたらどうですか」
「うん、いいアイディアだ、そうしよう」
「なんだか議員さんから文句がきてますよ」
「うるせえ奴らだな」
「じゃあ、足立と荒川で行きましょうか。都区内を対象にしないと、埼玉や千葉から文句が出ますから」
「そうだな、そうしよう。これなら都民も納得するだろう」
  
 怒りにかられた私は、計画停電の真相を確かめるため、かつ今後のエネルギー政策、そして東電の賠償金の支払い方法を考えるために、停電にみまわれたコンビニ、自転車製作所、病院、印刷所などを訪れ、足立区長、荒川区長、東京電力総務部、低炭素社会戦略センター、河野太郎衆議院議員らに、あわただしく話しを聞いて回った。

 そして、計画停電の対象地域の決定方法は、実は原発立地地区の選定方法と瓜二つだということが明確となった。それは、東電だけではなく、近代というものの酷薄さなのだが、詳しくは、来月5月18日発刊の『新潮45』に掲載予定なのでごらんいただければと思うのだ。