政府・東電への要求書

 福島県民は残念ながら力がない。中央の政治家の投票権を持っているわけではない。東電社長の解雇権を持っているわけではない。今、福島の中で誰が力を持っているのか?
 原発労働者である。
 実は東電も政府も彼らの人質である。いや、日本国と世界が人質なのである。
 下請け、下請けの下請け、そのまた下請けの労働者は、これまで王様の東電に頭が上がらなかった。他に代わりがいたからである。金で縛られていたからである。だが、今、被ばく量を超えた労働者が増加し、代わりはいない。みな希少価値なのである。金の卵なのである。
 今こそ発想を変え、以前はろくに人扱いされなかった恨みを一挙に晴らし、自らの人間性を回復するチャンスである。それには、労働者の権利をちょこっと訴えるだけでよい。

 そのための大義名分は、自身のことだけではなく、日本国民、とりわけ福島の母子の健康・福祉を考慮することがよい。

 僭越ながら原発労働者、福島の母子らに代わって、以下要求書を東電・政府に提出する。賛同される方々は、是非、本要求を友人・知人に紹介していただきたい。このような考えが広まるだけで、日本は変わる。  

東電・政府への要求書
 ○×▲新総理大臣   殿
 東京電力新社長西澤俊夫 殿
 関連諸機関 
1.福島県の健康アドバイザー山下俊一長崎大学教授は、解雇しろ。
2.新たな健康アドバイザーを任命しろ。東電村教授や東大教授は除外しろ。
  東大に関しては「御用学者である東大教授が公害の話しをすれば、東大教授であるがゆえにまちがっているというのと同じことでありまして、原子炉の安全について東大の先生が何か言えば、それは東大の先生であるがゆえにまちがっている」とすでに当時東大助士の宇井純により述べられている(70年代の東大工学部自主講座 日本の原子力発電を考える)
3.福島県知事が上記2点に賛同しないときはリコール運動を行う。
4.福島県立医科大学は、文部省にいいだくたくと従うだけならば、県民にとっての存在理由がなく、解体せよ。
5.福島県は県民が被った被害の甚大さ、そして原発はクリーンで安全という詐欺に対して、東京電力保安院原子力安全委員会を告訴せよ。検察は可及的速やかに活動せよ。
6.文部省は1ミリシーベルトを目標とすることとした。速やかに市町村は、校庭の除染を行い、費用は国、最終的には東電に付け回せ。
7.賠償には自主避難もいれよ。それにはECRP(欧州放射線リスク委員会)の低線量被ばくの影響モデル他を添付する。東電は、福島の家族は関東圏の家族に対して疎開費用と精神的な慰謝料を支払え。
8.女子中学生や高校生、大学生は「子どもを産めない」と考えている者もいる。将来の不安と将来を奪ったことに対して慰謝料を支払え。
9.福島市の15歳以下人口は6万人、3−4ヵ月疎開したとして、荒い試算で600億円前後かかる。他都市の人口を考えると、政府は、「これ以上資金面で東電に迷惑をかけられない、それに施設が足りなくて無理」というならば、そのことをきちんと説明せよ。
10.東電は賠償のために、送電、発電部門を切り売りせよ。万一資金不足となった場合は、政府が資金を供給せよ。つまり、現東電組織がこのまま残ることはありえない。
11.原発労働者の職場環境や労働条件については以下を早急に履行せよ。
 1)線量計をきちんと全員に渡せ。
 2)ホールボディカウンターによる内部被ばくを調査せよ。
 3)将来、白血病、癌になったときには、労災を認める承諾書に東電と経産省の担当官がサインせよ。「因果関係が分からない」という言葉を使ったものは即刻刑務所に入れ。
 4)希望者には、自己末梢血幹細胞採取を無料で行え。
 5)危険に見合った給与の支払い(1日1万円前後では安すぎる。危険費用の支払い)をせよ。
 6)250ミリシーベルトなどという非人間的な限度の設定はやめよ。これまでの原発労働での白血病の労災認定は130〜5.2ミリシーベルトの幅の被爆者である。
 7)被ばく線量が100ミリシーベルトを超えたときには労働を中止。慰労と放射能排出のため、東電は赤坂か京都祇園できれいどころを呼び、高級酒を用意して無制限に接待せよ。

 上記、要求を東電および中央政府が受け入れられないときには、即刻下請けの原発労働者はその原発労働を中止する代わりに、

12.総理大臣、東電社長、東電副社長、経産大臣、文部大臣、保安院原子力安全委員、東電関連原発学者、自民党総裁浜岡原発再開を求める自民党石原幹事長、歴代総理大臣福島県知事、双葉町町長、大熊町長らが、代行せよ。対価として一日一万円を東電が支払う。

13.マスコミはこれら原子力村員の福島第一原発での労働状況を逐一報道せよ。

原発労働者、福島の母子に代わって
風樹茂     2011年 6月6日