読者の軽いノリの海豚さんが人間は恐ろしいといっているが、そのとおりで、詳しくいえば人間の欲望は怖ろしいというとだろう。
食欲や性欲は肉体という制限があり、無限に膨らむものではない。限度がある。だが物欲と権力浴はどこまでも膨らんでしまう。
せめて人並みで、と願っていたのが、それ以上、今以上といって留まるところをしらない。人間の遺伝子に組み込まれているのだろう。欲望は発展や進歩への願望と同じ地平にありそうに思われる。
以下も「愛! フクシマの黙示録第4話 すごい人は本当はひどい人だった」より
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双葉町の経済も活性化してきた。大熊町に先を越されたとはいえ、一部ゼネコンや関係企業のオフィスもできた。地元の女性は、都会の男と結婚する機会も増えた。男たちは、旋盤工、溶接工、電工になって原子力発電所で働くようになった。その後は、柏崎、福島第二原発などを回る原発ジプシーとなった。中には下請けとして人出しの会社を設立して、親方と呼ばれる人間も出てきた。
中学の優等生は東京の東電学園(東京日野市 2007年閉校)に行き、東電に就職することさえできた。双葉町の駅には急行も特急も止まるようになった。まるで魔法。町起こしのような努力は不要。濡れ手に泡だった。
こうして、町長は浮かれた。町民も浮かれた。降ってわいたあぶく銭だ。立派な公民館18か所も建てた。郡内で初めての図書館も建てた。町全体が入る4億5千万円の体育館を建てた。15億円もする4階建ての役場も新築した。4車線の町道も建設した。田中町長は、木村知事を見習い、「住民にとって一番たいせつなのは健康です」と、ベット数250の総合病院双葉厚生病院を建てた。
さらに田中町長は東電のエージェントとして全国の貧しい町村を行脚し「あなたの町にも原発を作ろう」と呼びかけた。新潟県柏崎市刈羽、京都府久美浜、和歌山県日高町、石川県珠洲市、青森県六ケ所村、高知県、萩市議会、山口県上関町。
1981年(昭和56年)、過疎の進む北海道泊村で町長は泊村の村民に胸を張っていった。
「双葉町の個人所得はここ数年、福島県でずっと一番です。福島県民の平均が年130万円。私の町が167万円です。個人所得が平均より2割も高いというのは大変な所得です。ですから実際の所得はかなり高いと思います」
泊村第一号機は1985年に着工し、89年から運転を開始した。田中長町は講演の翌年に「内閣総理大臣賞」を受賞した。
けれども、福島第一原発では営業運転開始とともに、激しい放射能汚染が始まっていたのである。その事実を田中町長はたくみな言説で糊塗してきた。
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★双葉町にはとても大きな図書館がありました。書籍がどうなったろうかと心配になり、町役場に確かめましたが、取り出すことができずにそのままだそうです。図書館には、600冊の原発にかかわる書籍がありました。なお、この図書館の建設は田中建設(町長の会社)、設計管理は東電設計株式会社が担いました。
★ヨーロッパ経済もアメリカ経済も怪しい状況です。1929年の大恐慌に似ているところもあるようです。
★現在、「震災先駆けホームレス」を書いていますが、震災があろうがなかろうが、ホームレスには家がなく、近親者との関係も薄く無縁なのです。