シャルリ・エブド襲撃事件の現場を訪れる(6)ー故湯川さんが設立したというPMCの背景は

 湯川さんが設立? したという、PMCの会社のホームページ は、いつの間にかWeb siteから消えてしまった。そのトップページには後藤さんの家族(妻)からのメッセージ“人質事件で迷惑をかけたことと、その間の支援に対して感謝する、趣旨だったと思う”が掲載されていた。
 すなわち、昨年2004年春ごろから、後藤さんはマスコミの仕事よりも、湯川さんのPMCの仕事が主な収入源になっていたのだろう。それはよく理解できる。
 今日、フリーランスがマスコミ一本で暮らしていくのは容易ではない。私も骨身にしみている。いくつかの収入源がなくてはならない。JICAに勤める妻に安定した収入があったとしても、やはり一本立ちしようと思うのが普通だろう。

 一方、湯川さんは軍事オタクで国内で自衛隊などと以前から関係を持っていたようだが、海外事情にはまったく不案内だった。実際にはどのような形で二人が知り合ったかは、不明だが利害が一致したのだろう。

PMCの資金源はどこか?
 私がずっと不審に思ってきたのは、湯川さんのPMCの資金源である。彼がさほど資金を持っていたといはとても思えない。戦地での行動には、飛行機代は別としても、それなりに金がかかるだろう。日本人なのでぼられることもしばしばではないか?
 マスコミもPMC関係者を取材しているようだが、資金源を探求してはいない。それはもしかしたら、シリアやイラクでの取材よりも危険なのかもしれない。かつて小泉政権、竹中金融大臣の時代だと思うが、朝日や読売の記者が不審死している。それ以来、マスコミはとりわけ公安が出てきそうな事件は、深くは追わない。

 さて、PMCの顧問には、元茨城県自民党の水戸支部事務局長を務めていた木本信男さん、湯川さんの「アジア維新の会」のシリア支援募金には、息子の木本信太郎県議さんもかかわっているようだ。どちらかというと右翼系の政治家である。
 さらに、湯川さんが以前立ち上げた輸入スターマーク株式会社東京都江東区有明三丁目7番26号 が、株式会社ユニバーサルエンターテインメントとほぼ同じことから、パチンコ、カジノ関係のこの会社からも資金が出ていたのでは、とも疑われているが、この真偽は不明だ。右翼、政治家、パチンコ利権とくるとあまりに胡散臭さがそろってしまう。

PMCの人脈ー国家安全保障との接点?
 また、元ベネズエラ大使の國安正昭さんもが顧問に名を連ねている。元官僚は様々な団体に名を連ねるから、どれぐらい、かかわっていたかは定かではない。ただ、彼は右寄りの日本戦略研究フォーラムで、田母神俊雄((株)田母神事務所代表取締役/前航空幕僚長)とともに、評議員を務めている。元外務次官で、2014年に内閣官房国家安全保障局長(初代) 兼 内閣特別顧問(国家安全保障担当)となった谷内 正太郎さんとともに、富士通とかかわっている。國安さんは顧問、谷内さんは取締役である。つまり二人は何らかの関係があり、それぞれに情報を行き来させていると考えることができる。  
 こうしてみるとPMCの背景は、一筋縄ではいかない。諜報畑にいた作家の佐藤優さんは、後藤さんのキリスト教徒の側面を雑誌などあちらこちらでやけに強調しているが、今回は外務省の意図を隠すための目くらましではないか。何らかの理由で恩を売ったのでは? (私は超疑い深いのだ)。産経や読売が朝日特派員のシリアでの取材を、臆面もなく非難する事情も薄々わかってくる。政府には知られなくない何かがあったのだ。むしろ人質となった二人が死人に口なしとなったことで、安心している人間がいるであろうことが想像できる。合掌!

 ところで、オバマ大統領とキューバのカストロ議長が歴史的な握手をしたが、チェゲバラは草場の影で何を思うだろか。