ベネズエラ国政選挙―拳銃、機関銃、手榴弾使用禁止! 


 ベネズエラで5回目の国政選挙である。今回は国会議員選挙。選挙前、選挙後の2、3日は、、拳銃、機関銃、手榴弾の所持と使用、防弾車の通行は禁止されている。ベネズエラでは珍しく、安全な日々となる。ぼくは自転車で各投票所を自転車で巡ってみた。強い陽射しを避けるために、朝6時から長い列ができている。

簡単に野党が勝てないわけ
 さて、新聞各種調査から野党の完勝を予測しているが、果たしてそうなるだろうか?

 ベネズエラは、小選挙区比例代表に別れているが、比例も各地域に配分されるようになっている。前回選挙 2010年では、得票率は与党 49.44%、野党50.55%だったが、与党の大勝利に終わった。167議席のうち、100議席以上を与党が取得している。
 これは日本でもそうだが、人口過小な与党の強い地域に議員数を不公平に配置しているからである。今回ファシズム独裁政権は一層有利に議員数を配置している。

 たとえば、比例による議員数は、首都カラカス圏(人口200万人)人口過小なCojedas(45万人)もすべて2人である。首都カラカス(選挙民数160万人)の小選挙区議員数は6人、Lara州(選挙民数120万人)は7名。したがって、圧倒的に野党が勝たない限りも、議会で過半数を得ることはできない。

 しかも野党の党首級の政治家は刑務所に入っているか、国外追放か、選挙資格を喪失させられている。テレビ、ラジオはほとんどが政府に買収されている。

与党も不利だが

 ただ、与党も大統領のMaduroがあまりに不人気で、選挙ポスターも死したチャベスが出るしかない。最近は、トイレットペーパー、卵、石鹸、シャンプーなども入手困難で、インフレは年400%前後で推移している。現地通貨の下落は凄まじく、ここ8年で400分の1! 現在価値からいくと、事実上は世界でも有数の最貧国に落下した。国会議員の月収は30ドル前後である。
 しかも与党は山口組以上の犯罪集団。先日、大統領の甥二人がコカイン売買でハイチでアメリカの司法当局に捕まったばかりだし、コカインカルテルの親玉といわれる国会議長はアメリカから訴追されようとしている。

それでもチャベスがいい

 与党チャビスタの人々、貧困層、無教育層、犯罪者集団、軍部は、どこかの宗教政党のように与党を支持し、雨でも嵐でも選挙に向かう固い集票層である。国営企業テクノクラートは、仕事を失いたくないために、選挙の捕虜になっている。

 ぼくの住む地域、ベネズエラでも唯一安全で、富裕地域―は圧倒的に野党勢力が強いが、たとえばバスで1時間ほど揺れてぼくの家にくる肌の黒い掃除のおねーさんは、もちろん、与党支持だ。
 
 それもわかる。他の、日本のように、富裕層のための新自由主義の政党が与党になると、自分たち貧者は全く見向いてくれない、疎外された存在に逆戻りすると思っているのである。

 さて、投票したばかりの裕福そうな長身の彼女は誰に入れたのだろうか?