3.11と偽情報


 戦争・大災害時、あるは激しい政争がある時には、さまざまな情報が錯綜し、偽情報、デマも流れるのが常だ。
だがマスコミにもましてや庶民にはどの情報が事実かを判別するのは極めて難しい。あるいは分かっていても何かを慮って真実を表に出さない。
 では、東日本大震災時の福島第一原子力発電所の原子炉の爆発、放射能汚染と健康被害については、どうなのだろうか? 
 前橋地裁で「東電と国の過失と賠償責任を認める」判決が出た折に振り返ってみる。

 
肩書きを持つ専門家の言葉はどこまで信じられるか
 原発が次々と爆発していたころ、テレビでは枝野幸男内閣官房長官が始終、「ただちに健康被害はない」との旨趣を繰返していた。
 政治家の言葉というより、役人の言いように近かった。そこで、私は健康被害があるといっているに等しいと役人のように忖度した。
 早急にチェルノブイリ原発事故に関する書籍と日本語と英語の文献をインターネットで寄せ集め、福島における放射能汚染と健康被害
可能性を精査してみると、風向きによっては、東京にいても放射能の影響が出て来ると判断せざるをえず、一時子供を連れて関西に避難した。


 当時、政府の避難指示区域は原発20キロ圏内だった。原発が爆発したときの風向きから放射能は北西部へと広がったようにみえた。
おせっかいな私は避難区域外の飯館村役場に「避難したほうがいいのでは」との趣旨のメールを送った覚えがある。もちろん、
無名の人間の意見など考慮されるわけもない。

 3月中旬過ぎから、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長の山下俊一教授が福島に入り、住民を安心させるための講演を行っていた。
世界保健機関(WHO)緊急被ばく医療協力研究センター長、日本甲状腺学会理事長、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」などの肩書きを持ち、
チェルノブイリ原発事故についても調査している。肩書きゼロの人間と言葉の重みが違う。しかも被曝二世だという。

 彼はいわき市福島市などで講演を行い、「大丈夫、安全、セシウムなどまったく影響なし」といい、外国人特派員協会でも同じ言葉を繰り返している。
3月21日の講演では、「チェルノブイリ放射線セシウムを食べ続けて、20年フォローしているが病気は増えていない(甲状腺がんは除く)」
チェルノブイリには具体低な信頼できるデータがない、だから事故前後に産まれた子供達の比較対照調査を主な活動内容とした」

 3月25日の講演では、「笑っていれば放射能はこない」といっている(続く)
 (当時の彼の講演内容などはユーチューブにたくさん残っている)。