日本人もマスメディアもなぜこんなに謙虚なのか?ートランプのアメリカ大胆予測 採点ー

トランプのアメリカ大胆予測 採点
 さて、安倍ートランプ会談も終わり、マイケルフリンも辞任したようなので、2か月前に私自身のトランプのアメリカを予測した結果を採点して
みようかと思う。
 まだ結果が出ていない点もあるが、いまのところ自己採点だが90点でどうだろうか? 
 はずれたのは、イスラム教徒入国禁止だけだ。なぜはずれたか? その理由を反省すると、トランプ政権がここまでお馬鹿だとは予測できなかったからだ。そもそも、グリーンカード所持者やビザをすでに取得しているものまで、入国を拒否するのは、法律違反、あるいは現大統領令を過去に遡及させるということになる。戦争でもないのに、超驚きだ。素人政権なのだから、今後もこういうことは生じて来るだろう。
 なお、トランプは年内あるいは来年には、理由も結果も不明だが、一度は弾劾裁判にかけられると見る。その意味では、安倍首相が半ば操ることのできるアメリカ政権なのだから、日本にはがっかりというところか。

日本人もマスメディアもなぜこんなに謙虚なのか?

 以前、ヤクルトのココ・バレンティンに彼の故郷で、「日本人のどこに驚いた?」 と聞いたところ、「これほど謙虚な人間はみたことがない」との答えだった。それは良し悪しだろう。
 マスコミや識者がとくにいけない。日米交渉について、とりわけ米軍駐留経費だが、これ以上日本が支払うなど、アメリカが主張できるわけがない。8割、9割支払っているのだから。もしアメリカ駐留軍が別の地に移るならば、アメリカの予算で処置しなくてはならない。それはトランプのもっとも嫌うところだろう。しかもアメリカがそんな主張すれば、日本国内の反米感情が高まろう。トランプの唯一の友人を失うわけにはいかない。

 もう一点。今回のトランプ・安倍会談は、予想通り成功だろう。だってトランプはビジネスマンだ。安倍首相の政治キャリアは何年か? また首相在任期間は5年、前回を入れれば6年にもなる。北朝鮮の地をふんだこともあるし、プーチンとは何度も会談している。どう見ても、安倍に軍配があがる。トランプの外交上のメンターといってもいい。しかも、国がら上、移民政策で日本はトランプを批判できる位置にいない。唯一の友人といっていい。誰も友人がいなくては、トランプとて不安だろう。
 まるで小国のキューバが石油大国ベネズエラを操るがごとし。そんな可能性さえある。
 だから、日本が珍しいぐらいに、上の位置んにいるといっていい。でも、トランプ政権は素人で、しかもファシズムの色彩が強いのだから、長く続くがどうか、極めて疑問だ。


最近、こども食堂とは何者なのか アップしました。

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1. メキシコ国境に壁や塀を作る

 最も現実的な政策のひとつである。しかも目に見える。メキシコに直接支払わせるのは難しいので、可能なら借款とし、無理ならばアメリカの予算で補う。労働者の半数以上はメキシコ人か、不法滞在のメキシコ人とし、勤務成績のいいものには市民権を与える。TPPと同様にトランプは言ったことは実行するのだと、コアな信者に見せ、反対派には恐怖を植え付ける。新たなニューディールとなる。

2. イスラム教徒入国禁止

 目玉政策のひとつだが、実行できない。イスラム教国の怒りに油を注ぎ、アメリカへのテロの危険が増す。1924年の排日移民法は日本人の反米感情に火をつけ、太平洋戦争の遠因となっている。しかもトランプ財団はイスラム教国と様々なビジネスを実施している。無言で葬り去る。

3.TPP

 アメリカ抜きで無理やり設立する。世界はアメリカのために存在しているわけではないことを示す必要がある。すなわち、現在日本での牛肉輸入関税率は38.5%、TPP発効時に27・5%に引き下げられ、16年目に9%になる。豚肉も同様に参加国に有利になる。2国間自由貿易協定を作るにもそれには時間がかかるのだ。「日本、アジアの市場をオージービーフに席巻されてもいいのか!」。「メキシコポーク、カナダポークに席巻されるぞ!」。米国内の反トランプのマスコミが黙っていまい。しかも、アメリカ抜きなので、日本国内産業への悪影響も緩和される。

4.NAFTA北米自由貿易協定

 TPPよりもすでに存在するNAFTAのほうが日本企業への影響が大きい。メキシコには自動車産業を中心にアメリカ向け輸出を目的とし1000もの日系企業が進出している。もちろん、アメリカ企業のほうが遥かに数は多い。メキシコからのアメリカへの自動車輸出割合はGM 、フォード、FCAなどで50%以上を占める。脱退するというのは交渉戦術であり、トランプはアメリカに有利なように条項を変えようとしている。ただし、メキシコペソが急落しているので、もし輸入関税を課されたとしても、影響はある程度相殺される。

5.シリア内戦

 解決する。ロシアと協調する。シリアのアサド大統領はトランプ時期大統領やトルコのエルドアン大統領と比べても独裁者のイメージからは遠い。ロンドンに留学していた医者なのだ。開放政策をとったところを周辺国に足元をすくわれた。国民の支持は高いのだから、彼を大統領にしたまま、穏健派に少数の議席を与える。地中海の石油など一部の利権でロシアとネゴする。日本も戦後の復興に協力できる。

6.安全保障・駐留軍

 てっきり米国のプレゼンスを減らすのかと思っていた。すなわち、軍事予算を半減し、余ったお金を打出の小槌と使う。産軍複合体への挑戦に見えるが、実は軍事産業は活況に沸く。各国が自主防衛せざるを得ないから米国の武器を購入する。ただし、解雇された軍人を他産業に移動させる難しい仕事が生じる。

 ところがだ! トランプ時期大統領の主張は、軍事予算を同盟国に肩代わりさせるという虫の良いものだった。陸軍の人員を7万人も増加し、兵器を真新しくするといっている。兵器や増員者はどこに送り、何に使うのだろうか? 軍人は失業対策、兵器は景気対策の大きな柱であることを忘れてはならない。その観点から日本はアメリカに最も都合のよい国である。日本はこれ以上の支出を飲む必要はない。米軍が日本から去ると、その予算の処置に困るのは米国であって、日本ではない。

7.外交

 親日、親ロシア政策をとるので、大よそ日本にとっては都合がよく、中国には居心地が悪い。「日本を取り戻す」安倍首相と「偉大なアメリカを取り戻す」トランプ時期大統領は、まさに馬が合う。ロシアに地理的に近い欧州のNATO北大西洋条約機構)各国とはぎくしゃくする。しかもドイツのメルケル首相はオバマ大統領と信条が似ている。トランプ時期大統領にはヒトラーの影を見ているので、内心穏やかではない。一方、各国との通商交渉は一筋縄ではいかない。1989年以降の日米構造協議を思い出す。けれども今の時代はジャパンバッシンではなく、チャイナバッシングが中心となろう。

8.政権人事

 気に食わなければ、「おまえは首だ!」。あるいは「期待と違った」と辞任する閣僚も相次ぎ、人事は不安定になる。日本も舌禍事件で度々大臣が変わったこともあるから、非難はできないが。

分断されたアメリカは続<

 トランプ大統領アメリカ全体のための大統領ではない。アメリカの分断はますます進み、自分にとって異質な人間への憎悪も深まる。白人至上主義は、歴史の退行運動だろう。大統領声明の都度、デモが起こる。実際に知識階層を中心にカナダへ移民する人も出て来る。デモでは、中南米の習慣でもある道路封鎖が実施されるようになり、経済に少なからず影響する。

10.テロと暗殺

 チャべス元大統領がそうであったように在任期間中、暗殺に怯える日々を過ごす。アメリカ市場を失うかもしれないラテン系麻薬カルテルイスラム過激派が共闘する。2年後、3年後には、彼らによるテロが起こる。

11.結局アメリカはどうなる

 新たな政策を行えば、別な部分に血液が流れるので、一時は景気も良くなるし、インフラも改善される。たとえば、ヒトラーは廃墟の中にアウトバーンを残し、実業界から首相に上りつめた田中角栄は、新潟県に新幹線と高速道路を残した。

 けれども、財政赤字は必死。徴税にかかわる混乱(だれからお金をとるのだ!)、社会の分断、他国との軋轢などから、4年後のアメリカの未来が明るいとは思えない。トランプ大統領の行く末も不安だ。

上記は、Wedge Ismedia「教祖は同じ言葉を繰返し嘘でも本当になる」の原文です。