シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった2-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く-

ベネズエラ プエルトラクルス
 私が住む街のシリア人の大半は、破壊つくされた街のアレッポから来たキリスト教徒である。経済的にもベネズエラ人よりもずっと上の彼らは、彼らの巨大な教会を持ち、アレッポの平和を祈り、さらにシリアクラブでは、一般向けの音楽、演劇、日本のオタクの祭典も行っている。

取材したのは、 Fahed Eid(40)とシリアクラブ元会長Georges(50)。両者ともキリスト教徒である。








ヌスラ戦線の偽旗作戦 カタール サウジもぐる
 Fahed は、7か月前ベネズエラ着。政府側が幹線道路を把握したすきにアレッポを脱出し、家族=妻、子供二人(13歳、4歳)とともに、
アレポ→タルトス→ベイルートアブダビ→ブラジル→を経由しベネズエラ着。アメリカ移住が目的。

「内戦前はカリフールのITマネージャ兼ネットカフェを経営し、生活はよかった。戦争はありもしない自由シリア軍を助けるといって主にサウジアラビア人からなるISが入ってきた。でも自由シリア軍はテレビの中だけだよ。

「戦争の初期に家の近くにテロリストとテレビクルーが来て、自由シリア軍の旗を掲げた。
でもテレビが去ると、ヌスラ戦線の旗を掲げた。そして住民を人々を打擲し始めたんだ。
そのあとで政府軍が来て彼らをけちらした。ぼくは窓のカーテン越しにすべてを見ていたよ。で、その日のうちにアルジャジーラとアラビアテレビにその様子
自由シリア軍の旗)が映し出されたってわけだよ」


戦争の理由は原油と戦略的位置

「戦争理由はタルトス沖に発見された大油田と、地理的な理由(ロシアへのパイプラインを阻止したい)。カタールはヌスラ戦線を支援している。
もちろん、イスラエルもIS支援。イラン対サウジの覇権争いって側面もあるし。ムスリム同盟団は、アルカイダに属するテロリストさ」
(筆者注: 欧米の専門家などは、過激ではない、開放せよ、といっていた。最近、フランスのテレビがアサドがわざと解放して、自由シリア軍と戦わせた、と述べいいたが、
それはまったくうがちすぎだろう。ムスリム同盟団がサウジがモスクに隠していた武器弾薬を使って、過激化し戦い始めたのが内戦の端緒であろう。国の大半がISやヌスラ戦線に奪われたわけだから、アサドには何の利益もない。欧米の関心をひこうとして彼らを解放したのは、失敗した政策だったのだ。)

「刑務所に入れているのを大統領が解放してしまい、彼らがまた反対派としてテロ行為を始めたんだよ。
経済は悪くなかった。インターネットも解放され、大ショッピングセンターもでき、かつ物価が周辺国のうちでもっとも安いので、
ツーリストが世界中からきていた。アンマン、ダマスカス、アレッポベイルートなんかを巡るのが観光の一大ル―トだった。さまざまな宗教の人が共存していた。聖書の言葉であるアラム語が話されているマルーラなどの聖地があり、それらの言語を保存するための大学も作られた(そこにもヌスラ戦線が来て、キリスト教徒を迫害)。それにしれもシリアは戦争でもモノはなんでもあったけど、ベネズエラ(世界最貧国)には子供のためのミルクもないよ」


Georges:シリア人移民の商売は行商だったんだ

「中東からの移民は1930年代が最初だよ。トルコ人だったのさ。あるいはまだオスマントルコのパスポートをもっていた。だから、シリア人もレバノン人もみんな、今もトルコと呼ばれる。われわれはトルコとは全然違う。最初の仕事は、ドアからドアの行商だったらしい。靴、服、なにがいいですかって御用聞きさ。
頭金をもらって、そして15日か月末に残金を払ってもらう、そこから仕事が始まった。多くがそうだった」

「私の場合は新しくて、親戚に呼び寄せられて97年に移民してきた。主に翌年チャベスが大統領になった。石油が高くなったから、経済はよくなっていたんだよ。今とはぜんぜん違う」

「ロシアとは30年以上もの長い間協調関係にあるし条約を結んでいる。経済、軍事、工業、などたくさん。アメリカとはパレスチナ問題があるから、うまくいかないよ。でもこの内戦で誰もパレスチナに目を向けなくなったな」

「フランス? もともとシリアの宗資国だからね。フランス語を話すシリア人も多いよ。パリとシリアをテロリストが出入りしているけど、シリアで死んでもらえば喜ばしいということだ。いずれにしろ、テロリストなんて寄生虫さ」

「シリアにいく? 先週アレッポにいって、教会関係者が帰ってきたばかりだよ。船? 船で入るなら、トルコからラタキアには船は毎週出ているはずだよ」

 私は彼らの言葉を確かめてみようかと、カラカスにあるシリア大使館と領事館を訪れる予定だった。また何度も電話をして、「シリアのビザはここではとれない。
自国(日本)でしかとれない。どこの国でもそうだよ」というでたらめをいう領事館員をとっちめてやりたくもあった。