中近東

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(4)

反テロ法の拡大解釈 サウジアラビアはイラクやシリアの内戦の影にかくれてあまり報じられないが、90年代からテロが頻繁に起こっている。外国人居留地で英米人が狙われることが多い。10月には、サウジアラビア西部ジッダにある宮殿の西門付近で、男が自動小銃…

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(3)

格差は続く 最近のサウジの事情が知りたく、今年の6月、プラント技術者のTさん(キャリア40年)に数年ぶりで会った。2014年10月〜15年4月まで中東最大のジュベール工業都市でジェット燃料生産プラントの建設現場で働いていた。施工は韓国系の企業でオーナーは…

*仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(2)

事実はマスコミには書けない その日の夜、もっと恐ろしいこんな話をK氏に聞いた。 ある国の駐在員の妻が殺され、第一発見者の夫が疑われて拘置所に入れられ、その国の大使館や派遣企業が解放に手をつくした。けれども、拘置所を出た時には精神に異常をきた…

仮面を剥がされたサウジアラビア ムハンマド皇太子(1)

もともとサウジアラビアは、独裁の警察国家である。以前より、フィリピンなどから来る家事手伝いの メイド他は、家族にパスポートをとられ、自由のない暮らしをするどころか、行方不明となることもあった。 フィリピン領事館には不明者捜索の担当官もいた。 …

シリア難民キャンプを行く

畑で働くシリア人女性たち アンチレバノン山脈を越えれば、シリア。ダマスカスまでは車で30分前後である。以前はISの支配地域だったが、ヒズボラが彼らを蹴散らしている。 中東は敵の敵は味方という、わかりやすい構図なので、たとえばヒズボラの敵であるイ…

ベッカー高原からダマスカス街道へ

さて、ベッカー高原というと何を思い出すだろうか。年代やどのような階層に属するかでまったくイメージは違うのではなかろうか? 団塊の世代だと、日本赤軍が訓練をしたキャンプのあるところとして記憶しているかもしれない。旧ソ連やシリア人には苦い思い出…

Ali Abdel Karim大使におしかけインタビュー

昨日と違い、シリア大使館の入口の警護官他、名前をいうと大使の客人ということで、丁重な扱いだった。 出迎えてくれた第一秘書官は小柄な美人の若い女性(Reem Jihad Jaber)、できれいな英語を話した。欧米に留学しているのだろう。 案内されたのは大使の執…

ベイルートでシリア大使館にやっと辿り着く

フェニキア人の子孫は一筋縄ではいかない タクシーの運転手には国民性が凝縮されていたりする。レバノン人は半数は一筋縄ではいかない商人だという印象をもった。 空港ーベイルートは「15ドルでいいよ」、「シリア大使館、シリア難民キャンプ、150ドルでいい…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった3-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く

シリア大使館は閑静な場所にあった。領事の責任者は「ビザはベネズエラ居住権がない人はとれない」ととりつくしまがなかった。やる気のない官僚的なベネズエラ人だろう。 ともかくベネズエラ人の仕事のやる気のなさはひどい。この大使館の居場所を知っていた…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった2-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く-

ベネズエラ プエルトラクルス 私が住む街のシリア人の大半は、破壊つくされた街のアレッポから来たキリスト教徒である。経済的にもベネズエラ人よりもずっと上の彼らは、彼らの巨大な教会を持ち、アレッポの平和を祈り、さらにシリアクラブでは、一般向けの…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった1-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く-

本稿はWedgeInfinity掲載レポートの詳細版です。 シリア内戦はまるで100年戦争である。世界のマスコミでは石油についての言及はなぜか注意深く伏せられている。 レバノン、イスラエル、シリア沖地中海に発見された巨大な原油層は、戦争の原因の大きなひとつ…

偽情報に何度も何度も騙される人々

中東をめぐるニュースの大半は偽情報、偽旗作戦である。 アメリカ、フランス、ロシア、イギリス、イスラエル、中近東各国、すべていかがわしい。 それなのに、騙されやすい無垢な日本人の中には、驚くことにマスコミの中にもいるようだが、リテラシーが乏し…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (3)

[:]見どころ満載のレバノン観光 ベイルートでは稀な経験ができる。イスラム教寺院で隣のキリスト教の教会の鐘の音を聴くことができるのだ。レバノンが微妙な均衡の中にいることを思わせるとともに、「シリアだって宗教は関係なく仲良くやっていたんだ」とい…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (2)

日本大使館員が親切に応対してくれたが ベイルートの日本大使館は厳重に警護された大使館コンプレクスの2重、3重の扉の中の広い敷地に、オーストラリア大使館、イギリス大使館などと同居していた。 一介の旅行者の私に親切に対応してくれたのは、警察から…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (1)

ヌスラ戦線に拘束され、生死不明の安田純平氏の写真が掲載されてから、1年がたつ。 ヌスラ戦線などのテロリストに拘束された他国の人間はよく解放されているのに、なぜ日本人だけ解放されないのだろうか? 不思議だった。そこでシリア大使館も兼ねているベイ…

俄かアラビアのロレンスを目指して

砂漠は清潔だ、といったのは、確か中国の砂漠を描いていた・シルクロードを描き続けた日本画家の平山郁夫さんだったろうか? ぼくにいわせれば、砂漠はむしろエロチックである。砂山を作る曲線美は、女のうなじや腰のラインを想像せずにはいられない。 だが…

金持ちならよい機材を買ってくれ

結局、予測とおり、旧式のレントゲン機械では同じ結果が出た。すなわち、2、3日たって、今度は注射が必要だといわれた。なんの注射か? と聞くと、「感染の強さを調べるんだ」という。何か要領が得ない。 結核について調べてみると、今はQFT検査が日本では…

ドーハで被爆する

風が吹いている。砂嵐。目にはサングラス。顔にはマスクが必要だ。風速50キロの風が ペルシャ湾から吹き付けてくる。 ぼくは海外では風とは縁が深い。 アマゾンで住んでいたときの村の名はChochis, 先住民の言葉で「憤怒の風」という意味だった。背後にある…

最貧の地から世界一裕福な地へ

ぼくは、ホームレス界(今は生活保護をとっている人が多い)の集中する山谷から、一気に世界一裕福な国へと旅立った。 おすそ分けをもらいにいくためだ。 カタール。 年収は2000万円とも3000万円ともいわれる。税金はなし。医療、教育など無料だ。 …