西洋人より昔の日本人のほうがよほどえらいニャン

 西洋人より昔(むか)しの日本人の方がよほどえらいと思う。西洋人のやり方は積極的積極的と云って近頃大分(だいぶ)流行(はや)るが、
あれは大(だい)なる欠点を持っているよ。第一積極的と云ったって際限がない話しだ(中略)。
 ナポレオンでも、アレキサンダーでも勝って満足したものは一人もないんだよ。人が気に喰わん、喧嘩をする、先方が閉口しない、
法庭(ほうてい)へ訴える、法庭で勝つ、それで落着と思うのは間違さ。

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 100年振りに蘇ってみれば、明治時代の日本人のほうがまだましだったかもしれないと思う常日頃だ。
現代の日本はヨーロッパではなく、なにがなんでもアメリカの真似だ。アメリカの言うとおりだ。
吾輩がいないうちにアメリカと戦争までして負けた影響か。もともと「長いものには巻かれろ」、
「寄らば大樹の陰」という諺がある弱小の島国だからか。

 吾輩は生きていたころの強国はイギリスだった。だから吾輩もイギリスに留学した。けれども、吾輩はイギリスかぶれになら
なかった。吾輩は留学中にイギリスの失敗を見て日本の将来を危惧して手紙を書いた。

―欧州今日文明の失敗は、明らかに貧富の懸隔甚だしきに基因致候、この不平均は幾多有為の人材を年々餓死せしめ、
凍死せしめ、若しくは無教育に終らしめ、却って平凡なる金持ちをして愚なる主張を実行せしめる傾なくやと存候。
日本にて之と同様の境遇に向かい候は(現に向いつつあると存候)、かの土方人足の智識文字の発達する未来に於いて
は由々しき大事と存候(1902年3月15日付中根重一宛)


 それが今は学者も政治家もアメリカに留学してアメリカかぶれ。吾輩の主人もその最たるものだったニャン。
「おれはハーバード大を出て、ウォール街はみんな知り合いだ」といって威張っていた。
 テレビでも「痛みに耐えて構造改革!」「聖域なき構造改革!」「痛みのあとは楽しい極楽」とかいって宣伝した。

 なんのことはない。吾輩は冥土から見下ろしていたけど、あの時代の日本は、みんな痛いだけで、毎年3万人も自殺して、
1998年〜2011年まで14年間で40万人以上の人が自ら極楽に行ってしまったニャン。

 それもこれも財界も新聞社もアメリカかぶれで、ミルトンなんとやらの理論が素晴らしいと喧伝して、みんな騙された。
痛いだけだったニャン。この世で極楽に行けたのは一部のお金持ちニャン。

 その証拠がこの公園。
 最近、捨猫ならぬ、若い世捨てられ人が新たに公園に住みはじめたニャン。

 アメリカはあのとき、キューバに侵攻していたら、全軍全滅したニャン。ちょっと固いお話だけど、歴史の智識は大切なので
読んでみて。