3月11日の地震は、一部では人工地震だ、などというむきもあるが、もちろんぼくはそんな意見にはくみしない。技術的な実現性と、動機が現実離れしているからだ。
けれども、やはり、宇宙の偶然とか予兆、あるいは冷徹な意思のようなものを感じずにはいられないのである。
1979年3月11日の地震は、震源地がほとんど同じなのだ。もちろん、地質の弱い部分が震源となりやすいので、このようなことも起こりえるのではなあるが、やはり不思議である。
以下「愛！ フクシマの黙示録第7話」愛の秘密より
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5分も歩くと、ホテルについた。手を離して、ぼくと愛ちゃんはエレベーターに乗った。狭い空間で二人きりになり、少し緊張した。愛ちゃんは壁にもたれかかっている。
5階についた。エレベータを出て廊下を少し歩く。503の部屋の前でとまった。キイを差し込み、ぼくが先に部屋にはいった。
「じゃあ、どうぞ」
愛ちゃんが入ってきていった。
「えー、ダブルベッドじゃない」
「うん、ここしか空いてなかったの。でも広いから、ほら、パソコンつなげてみる」
ぼくは机の上の携帯ノートパソコンをとって、コードを電源に差し込み、立ち上がってから、ネットにつなげた。ヒューレットパッカードのすぐれものである。愛ちゃんはベットにちょこんと座っている。
「ああ、メールきているよ、神のメール」
ぼくはこれが最後になるとは思いもよらなかった神のメールをちらりとのぞいてから、今度は気象庁のサイトの地震デ―タベースにアクセスした。そして、1978年と79年の3月11日の地震の有無を調べた。すると1979年に福島沖で地震があった。
「あった、あったよ。愛ちゃん」
「えー、地震」
「うん、福島沖、それも、今回の地震と比べてみるとー」
ぼくは2011年、3月11日の地震データにアクセスして、メモ帳にそれぞれのデータを貼り付けた。そしてまた驚きの声をあげた。
「あー、福島沖のほうは、震源地がまったくいっしょだよ。1979年3月11日午前5時21分、マグニチュード5.5、北緯37度17分、東経141度43分。今回は本震の三陸沖のマグニチュード９の4分後、14時51分に福島沖で地震があったんだ。マグニチュードは6.8、震源は北緯36度44分、東経142度17分で、緯度も東経も一度違うか違わないかだ、ああ、その3分後にもまた同じ場所で地震。すごい！ 老師のいっているのは本当だ。愛ちゃん、嘘じゃないよ。きっとUFO見たのも本当かもしれない」
ぼくはあまりの偶然にうなってしまった。そして、ちょいと酔いがさめた。
「あれ、愛ちゃん」
彼女はダウンジャケットを床に脱ぎ捨てて、ベットの真ん中に身体を横たえ、そのまま寝息をたてていた。今になってよほど疲れが出たのだろう。
でも、凄いチャンス！
「愛ちゃん、寝ていっていいよ。シャワー浴びて着替えたら、浴衣あるから」
寝ぼけ声で愛ちゃんはいう。
「良太君、わたしもうだめ、疲れて、ここでもう、少し、寝かせてもらう。このまま。でも、だめよ、あんた、無職なんだから、指一本も触れないこと、なんかしたら絶交だからね」
「えー、そんな」
愛ちゃんはそういって、もうすやすやと寝息を立ててしまった。ベッドの真ん中に寝ているのでぼくの寝るスペースはほんの少ししか残っていない。
彼女のピンクのセーターの胸のあたりがゆっくりと上下する光景を眺めながら、ぼくは「どうしようかと」途方に暮れてしまった。
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★宇宙の不思議
ぼくは子どものころ北海道にいたので、まだ夜空がきれいだった。小学校のころには望遠鏡などを作って夜空をのぞいていた。東京にくると星空はほとんどなかった。人は宇宙の中の芥子粒のような存在であることを忘れてしまう。
なんの脈絡もないように動いているかのごとくだが、宇宙の理性的な意思がこの世を支配している。我々の身体も心も、もちろん地球も太陽系も大宇宙との関連性の中に存在している。われわれは宇宙から来て宇宙にもどっていくのである。
そんな気分を思い出させてくれるのは、メキシコのピラミッドそばのジャングルの夜だったり、アマゾンの夜空だったりする。かつては、ぼくの暮らしていたアマゾンの村には驚くほど鮮明な天の川が見えた。だが、昨年訪れたところ、電気が来たので星空はなくなってしまった。
天の川を満喫できたのは、ウユニ塩湖の夜だった。真夜中に外に出たぼくは飽きるまで満天に鏤められた夥しい星々を眺めたのである。
あのような場所では、UFOの存在になんの疑いも抱かなくなる。
★3月26日は少し注意
エレニン彗星が地球、太陽、水星と直列するようです。エレニン彗星と惑星直列時には統計的に大きな地震が地球のどこかで起こっているので、この日の前後は注意したほうがよいかもしれません。ただし彗星の大きさを考えれば、単に地球、太陽、水星の直列の影響だけかもしれませんが。
★「ホームレスパパ」がいるかネットブックで、人気一位になりました。ご購入してくださった読者の方々、ありがとうございます。「愛！ フクシマの黙示録」も忘れないでね。
