★150人の児童ががんで死ぬ?
50歳以上の方ならばきっと覚えているだろう。以前は小学校にレントゲン車が回ってきて、毎年胸のレントゲン写真をとっていた。
あの健康診断はいつ廃止されたのだろうか?
その廃止運動を行ったのが、小児科医でチェルノブイリ子供基金顧問の黒部信一さんである。
「放射線の影響は確率的に少ないといっても、10万人、100万人とレントゲンをとれば必ず何人かは、健康影響がでてきます。ですから、毎年レントゲンをとるのは利よりも害のほうが多いということです」
以前、ぼくのブログでも医療放射線の害について書いたが、今は海外からCTの取り過ぎを非難されている。
「日本国内でがんにかかる人の3.2%は、医療機関での放射線診断による被曝が原因」(イギリス オックスフォード大学)
たとえば以下の過程で、福島市などの子供が癌になる人数を荒く試算してみよう。
・3万人の0〜9歳児
・放射線への感受性は大人の5倍
・1年の被ばく量は20ミリシーベルト
・ICRPのしきい値なし、直線比例(放射線で1000人に5人が癌で死ぬ/100ミリシーベルト)
・20×5=100
・3万×0.5% =150人
つまり、数年後、数10年後に放射線の影響による150人が癌で死ぬ可能性がある。(大人と同様20ミリで計算すると、30人)
これが30万人になると、1500人(同様に300人)という数値になる。
今、福島県のいくつかの市は県民に帰れ! と呼びかけているという。
★だからといって、全員が疎開できるわけではない
前出、黒部さんはチェルノブイリの経験を踏まえて、以下のようにいう。
「問題は癌だけではありません。1mSvの被ばくとは、人間の体を構成する60兆個の細胞全てに、平均1回放射線が突き刺さることをいいます。すべての細胞なので脳神経、心臓、筋肉、ホルモン、免疫系に影響します。
現地で調査すると、疲れやすい、病気にかかりやすい、勉強ができなくなったなどの訴えが多いんです。それらは数値にしにくいので、放射線の影響は、癌で代表しているわけです。私は福島市の子供たちには、全員疎開してもらいたい。
けれども、疎開して苛められるなどのストレスがあれば逆に子供の健康が損なわれます。そこで、チェルノブイリの事故では、べラルーシとウクライナの汚染されていない地域に一か所づつに保養所をつくって、そこで子供たちに汚染されていない肉・牛乳・他食べ物を提供し、空手、写真の技術、折り紙などを教えたんです。
子どもに将来の希望を与えることも大切です。現地の医師によると、そこに1月いただけでも、健康診断の数値が良くなるとのことです。母乳の放射能汚染も生活の場所や食べ物を変えると汚染度が大きく落ちます」
★福島市にとどまるならば、外へ出て遊ぼう
子供を持ったことがある親ならば想像がつくだろうが、数日子供が家に閉じこもるだけで、親子ともにどれだけストレスかということを。
日常生活は、家に閉じこもるストレスはできるだけ回避したほうがいい。前回のブログで登場していただいた小児科医の山田さんは次のようにアドバイスする。
「外部被ばくについては、完全に避けることは無理です。一週間家に子どもがいるだけでも親子でストレスがたまります。空間線量も下がっているようですから、子供も外で遊ばせる、家もしめきりではなく多少の換気もするほうがよい」
ストレスは健康を害するのだ。
ぼく自身の経験でいうと、
・大気汚染のすさまじかった南米チリでは、土日は子供は100キロほど離れた海などへいった、
・今回、3月中旬に大阪京都に一時疎開したときの素晴らしい解放感は、まさに放射能ストレスからの解放だった。戦争と平和という言葉が頭に浮かんだのである。
お金もないので長期滞在は無理だったが、福島県民には無料で多くの受け入れ先がある。
まとめると以下のようになろう。
・将来を考えると、福島市の子供、とりわけ0歳〜9歳児は疎開したほうが安全である。ただし疎開することのストレスも考慮したほうがよい。
・疎開できない場合は、夏休みや土日など線量の低い場所で過ごすのが有効である。
・福島市でも、空間線量は下がってきたので、家は換気をする、子供を時に外で遊ばせるほうがよい(もちろん内部被ばくを避けるため、食事には十分注意)。
★次は、渦中の管直人首相への質問状を考えてみます。実際、マスコミが全部反管直人なので、難しい状況ですが、時期をみて単独インタビューを申し込んでみます。