管直人と日本人の精神

 管直人首相と、と書こうかと思ったが、原発依存からの脱却は個人の感想と自分で言っているようなので、残念ながら、首相の地位は終わってしまった、と言わざるをえない。
 国民に向けて記者会見をして、その発言が首相のものではない、とはいったいどういうことか。まか、不思議である。
 なぜ、正しいことを言うと、よってたかって袋叩きに合うのか?  自民党は野党なので、あることないこというのはわかる。だが、民主党の側近が、「ああ、あれは個人の意見で意味ないよ」というのである。
 マスコミもわからない。なぜ、歴史的に見て正しいことを言っているのに、これほど管直人さんを叩くのか?
 また国民の大多数も管直人ではもうだめだという。ぼくとぼくのブログのコメントに記載していただいた管直人応援団の人々、そしてTwitterでのつぶやきには、管直人応援メッセージがある。だが、どうもそれは少数意見のようだ。
 それともマスコミの世論調査がインチキなのか?
 いずれにしろ、ぼくはいまだ一縷の望みをもって応援したい管直人さんだが、なぜこれほどまでに嫌われるのか? 身近なものは怒鳴られるからか? マスコミの会見を多く開かないからなのか? 電気労連の票が怖いからなのか? 相談もせずに一人で決めるからなのか?

 この謎の回答は、日本文化や日本精神に求める以外なかろう。

 管直人さんは、震災と原発事故があるまでは、まさに場あたり的で、管直人の色がなかった。だが、開き直ったように彼は意見を言い出した。自分の色を出したのである。それが日本文化、日本の基層文化、日本精神にぶつかってしまったのだ。禁忌であり、タブーだったのだ。
 上に立つ人間は、空の空、色があってはならない。祭りの神輿は軽いのがいい。首相は利害調整のためにいるだけでいい。
 つまりこのような危機的な状況にあってしても、先の大戦と同様に調整型で無能な官僚的な首相―東条英機のことだがーを多くの日本人が望んでいるわけだ。
 その結果はどうなるのか? 火を見るより明らかである。
 すべては玉虫色、骨抜き、虫食い。
 脱原発原子力に依存しない社会を、管直人後も次の首相がいうかもしれないが、それは標語だけで、震災前に回帰し、日本社会は奈落に向かって転がっていくことだろう。
 思い出してほしい。
 日本が敗戦したとき、残った日本の保守勢力は、憲法を含めた新体制を、改革などではなく微妙な修正で切り抜けようとした。それにまったをかけたのが、GHQマッカーサーだった。
 3月の中旬にも書いたが、今回アメリカはいない。日本人が原発マフィアたちの裁判を行わなくてはならないのだが、このままでは、政治家、国民、マスコミのすべてが管直人を引きずり降ろし、震災前と変わらない社会を作ることになる。
 妥協の産物の日本的な首相のもとで。

★言葉と人の心がわからない管直人
 ぼくは当時の管直人首相が「最小不幸社会」などという標語を使ったときから、この人は広報、言葉、人の感覚を知らないと思ったものだ。否定的なものの組み合わせである。聞いただけで心が暗くなる。内容は同じでもなぜ「最大幸福社会」と言わないのか。それとも、元祖のブータンにパテント料をとられるとでも思ったのだろうか?

★下衆の勘ぐり
マスコミやジャーナリストが、管直人さんの言葉に対して保身延命と書くのは下衆の勘ぐり、というものだろう。自身が国の総理になったと想像してみるとよい。歴史的使命感こそが最初にくるものではなかろうか。

★中途半端の独裁
 小泉元首相は、せめて閣内の意見は統一し、それに対して自民党の反対勢力が法案を通さないときに、解散に打って出た。そして、社会主義ファシズムの典型的な手法を活用し、抵抗勢力(自民+役人)を国民の憎悪の対象として、勝利した。
 管直人さんは、閣内の意見も統一できず、独り言をいいい、そしてついに腰砕けか? 彼はファシズム方式は嫌いらしいのだが、ならば次の一手しかない。

管直人逆転の一手
 管直人さんが首相でいられる方策は、「全国廃炉英雄プロジェクト」を打ち上げ、誘致した地元を含め、原発マフィアたちも30年は十分生活できることを示し、かつそれに携わる人間たちを英雄と祭り上げる方式を作ることである。
 つまり「再生可能エネルギープロジェクト」と「全国廃炉英雄プロジェクト」を日本の2大プロジェクトとし、その両方の技術を磨きあげ、海外に輸出するのである。景気もよくなるよ。
 
★宍戸さん一家
 昨日のNHKクローズアップ現代で紹介されていたのが、「福島のおかあさんの言葉」で紹介していた、月館村のおかあさんである。北海道に移られたが、日常用品の購入に30万円前後かかったとのこと。その意味では、佐賀県の受け入れ態勢のほうが親切のようだ。あそこはテレビ、洗濯機などみな貸してくれるようだから。
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