ベネズエラで続く、史上最悪の汚い戦争

今、私はベネズエラにまた住んでいる。2月に来て以来、陸路の旅はかなり難しくなった。あちらこちら道路が閉鎖され、一部の場所では内戦が繰り広げられている。

 コロンビア国境のタチラ州 州都サンクリストバルで火の手が上がった反政府運動は、瞬く間に全土に広がった。カラカス、バレンシア、マラカイボ、バルキスミェント。主役は、学生と反政府側の一般市民である。

 
 モノがない、犯罪だらけである、政府の腐敗は我慢の限界にきた、
 それが利益を得ている政府側のチャビスタ以外の人間のふつうの感情だろう。
 彼らは、バリケードを作り、道路を封鎖した。

 政府側は、催涙ガスと、実弾で応酬した。装甲車も出た。ビルの上には狙撃主を配置した。パラミリタールといわれるオートバイの一団は、ライフルをもって無差別に発砲する。もちろん、拷問もある。

 警官も一般市民の住む住宅へ無差別に発砲する。そしてときに泥棒、つまり略奪を働く。反対派の一部も武器で応酬し、警官を殺害する。


 私がかってすんだ、バレンシアのトリガル地区では警官たちが家の家探しを始めた。銃器を探すのだという。けれどもそれは一般市民から金とモノを強奪する口実でもある。(もっとも悲劇的だったのは、3月12日に狙撃主に殺害されたカラボボ大学の学生の家族が墓を訪れている間に、その家が盗難にあったことだろう)¥
 そして盗難専門家たちは、反対派が街に繰り出しているうちに家に押し入り奪う。
 さらに、警官は私服姿で反対派に紛れ込む。こうなると、誰が誰なのかわかない。マドーロ大統領は、ある場所が反対派に攻撃され、炎上する30分前にそれを非難した。
 
 この史上まれにみる汚い戦争は40日におよび、30人前後が死去した。

 チャビスタのある女性はテレビでこういう。「ベネズエラは平和だ。一部のファシストがヤンキーと結託して我が国を転覆しようとしている」

 ところがこの女、マイアミに住居を持ち、すばらしき生活をしているのだ。腐敗から得た金はマイアミに投資し、平和なアメリカに住むのがふつうだ。チャビスタこそが実はアメリカ大好きはなのである。

 テレビは反政府の拠点であった、グローボビションも政府に買われ(社主は脱税容疑をかけられ、国外に逃亡)、唯一本当のことを流すのはメキシコから来る、CNNの報道だけとなった。

 これが15年間に及ぶファシスト政権が作った帰結であり、チャベスが残した遺産である。左翼でも右翼でも極端はよくない。とりわけ人類が作る左翼政権の腐敗と経済政策は目を覆うものとなる。

 ベネズエラの奇跡;世界一の石油埋蔵量があるのに、ガソリンも、小麦も、コーヒーも、トイレットペーパーも、鶏肉もなく、それを探して市民はあちらこちらのスーパーやガソリンスタンドを探し、超行列ができ、インフレは50%を超え、ベネズエラ紙幣は日々価値が下落している。

(なお写真はすべてロイターの発信したものです)