西川荒川区長の2つの道

 西川区長は放射能の問題をのぞいてはよくられている区長だと思う。東電と癒着というが、東電べったりというわけでもなく、自由主義者発送電分離論者である。また区内に太陽光発電パネルを設置しようという構想だってある。
 今回の放射線への対応はまったく残念である。ある意味、西川区長も被害者ともいえる。
 だが区長なのだから被害者では済まないのだ。
 先日区長に「ブータンの人が来られるので、きませんか」と誘われた。西川区長はぼくと同様にブータン王の政策Gross National Happiness(GNH):国民総幸福感に共感しているのである。
 もしそうであるならば、まさに原子力発電などには反対の姿勢を示し、区民の幸福のために学校や給食の放射線を測定するのが筋であろう。

 西川区長が放射能を測らない理屈は以下のようなものであろう。
 ・国も東京もはっきりと基準を示していない。だから何度も基準を作るように求めてきた。責任は彼らにある。
 ・除染などはきりがない。経済的便益が低すぎる。
 ・この程度の低線量汚染ならば健康被害などあるわけがない。あってもわずかだ。風評のほうが怖い。
 ・東電の上野支所の所長とはずっといい関係だ。義理もある。その関係を壊すわけにはいかない。
 いずれの理由も今回の放射能汚染にはそぐわない。

 国や都は大きくて動かないのだ。なんのために区があるのか。国がだめなら県(都)、県(都)が動かないならば町村、町村が動かないならば個人が自身の健康のために動くしかない。計画停電のときは率先して動いたではないか!
 荒川区は住民の健康を守ることを国や都に預けて、住民の健康、とりわけ子どもの健康を軽視している。
 さらに、ばらまかれた放射能は広島原爆の30倍と実に大量なのだ。ホットスポットの存在が確認され区が積極的に除染している葛飾区や足立区と隣接しているのだから、荒川区自ら高そうな場所を測定するのが、常識のあるやり方である。
 また、健康は、経済的な便益にはそぐわない。このままでは区民より東電のほうが大事なのだろうと思われてもいたしかたない。区長は福島県知事と同様に、政治的選択を誤ってしまったのである。

 プルト君大好きな首長として名を轟かせてしまったのだから、今後は以下のふたつしか道がない。

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1.福島県の瓦礫を受け入れ、将来は地下原発を設置する。
 「区民などバカな集まりだ。ポピュリズム政治には陥らない、正否は歴史が判断するだろう」と放射能大万歳の道を押しすすめる。すなわち、
 ▲荒川区より福島のほうが大事なので、福島県の瓦礫を受け入れる。瓦礫は荒川区役所の前の池を埋め立て、野積みにする。また残った瓦礫は首都大学のキャンパスにおく。
 ▲さらに、福島県の産物は測定などせずにすべて荒川区で高値で販売する。
 ▲もちろん、将来的には荒川河川敷か区役所前に地下原子力発電所東京都への原子力発電誘致の建白書 参照)を設置する。葛飾、足立が反対するだろうが、老いの一徹で、強引に推し進める。
 ▲倒産するであろう東電は荒川区が区民税から資本注入をする。
 ▲これにより、経済産業省に返り咲き、大臣兼・荒川区長となり、強力な癒着を推し進める。

 今後、荒川区は日本・世界の原発のシンボルとし、永遠に繁栄する。もちろん区民の健康を思い、東京女子医大を傘下に収め、巨大な健康センターを創設する。

 その反対は以下のように君子豹変する道である。

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2.東電とともに荒川除染モデルを作り、全国に広める。
 「いままでのやりかたは間違えていた。たとえホットスポットがないとしても、住民の健康不安を取り除くのが先決だ」と考えなおし、以下の行動を起こす。

 ●西川区長自ら、東電の上野支店の支所長といっしょに区内の閉鎖系の池、自然公園、浄水所、学校の放射線を計測し、ホットスポットが見つかったならば、東電とともに除染活動を行う。
 そもそも、東電が放射線を測定せず、除染活動も行わないのは、世界の常識から大きくはずれている。環境を破壊した企業はその企業が現状回復するのが、原則である。
 ●したがって、計画停電のときと同様に、東電本社へ乗り込み、東電が地域の放射線の測定・除染を行うようにかけあう。それを荒川モデルとして全国に広める。
 ●さらに東電には避難地域と自主避難に対しても、早めの賠償の支払いをさせることを確約させる。
 ●早々記者会見する。

 これにより、経済産業省に返り咲き、大臣として電力自由化へと舵を切る。

 西川区長は年齢も上で、政治的キャリアもご立派なので、回りにいる区員はだれも助言などできないだろう。多分、このブログを読まれている関係者もいると推測されるので、是非、区長にはぼくのブログを読むか、風樹が「こんなこと書いていたよ」と耳に入れてもらいたいものだ。

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★ぼくの家のそばには 尾久の原公園がある。3月の末、4月には、子どもたちが親といっしょに池で遊んでいた。
「やめたほうがいいのに」と思ったが口には出さなかった。変なおじさんと思われるのが落ちだからね。
 そのとき、荒川区放射能ではなく、計画停電ばかりに怒りをたぎらせていたわけだ。今は、子どもたちが遊んでいる姿は見かけない。ゴジラのようなザリガニが発生するのではと期待しているのだが。

★国はホットスポット除染の基準を示したようである。さあ、荒川区はどうするのだろうか? 足立区東渕江小学校35ミリシーベルトは、荒川区所から約10キロの地点である。

★身体の大きな人はみなプルト君好きである。「長崎の鐘」の永井博士しかり、荒川区長しかり。やはり、ぼくの小説「愛! フクシマの黙示録」にあるように、日本人には放射線好きな邪悪な宇宙人の血を引く人種と他の人種がいるのだろうか。遥か昔にさかのぼる話であるが。
 
★さて区民であるが。佐藤福島県知事は、「リコールしますよ」というと、とたんに顔色が変わるようである。(福島県内部の政治家の話)

★読者のご意見に、「何だか愛すべき人間」だとあったが、政治家は性格で判断するのではなく、政策と実行能力で判断するべきだろう。