ホームレス

東京ドヤ街盛衰記 発刊

3日前に久しぶりに日本に帰国しました。最期は、ベネズエラ、キュラソーで、ココ・バレンティンのホームラン量産の秘密に肉薄。かれは16歳からベネズエラでプロ契約をし、その後、ベネズエラ、アメリカでまったく鳴かず飛ばずだった。その彼がなぜ、日本…

原発ストの明治公園にぼくは逃げた

「あれから大塚は行った? わたしはずっとマイナスイオンやってないからまたアレルギーが出て大変よ」 渡辺さんはおれに半袖から出た腕を見せた。赤いぽつぽつがいたるところにできていた。 「この一年で三〇年分の苦労を背負ったわよ。あの館野さんはどうし…

動き出そうとするチンピラと原発

館野さんと彼らが会ってから三カ月が経過していた。公園に戻る道中で、渡辺さんは彼女のことを思い出した。 「そういえば、あの人、なんてったかしら」 「ああ、館野さん?」 「Tシャツせっかくもらったけど、やっぱり大きすぎたわ。うちのが着ているわ」 …

今日、ホームレスに戻ることにした、 その15

★女同士のほうが取材はスムーズだ 館野さんとおれとホームレス夫婦が会ったのは、明治神宮の手前にあるオープンテラスの喫茶店だった。朝の一〇時頃だった。さすがに館野さんは裕福なだけあっておれとは違う。志賀高原に遊びに行ったときに購入したTシャツ…

今日、ホームレスに戻ることにした 14

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★女ホームレスとの健康デート 「日系のブラジル人の凄い人がいたわ。聖書とコーヒーと白砂糖だけを持って、ホームレス村を渡り歩くのよ。ブラジルじゃ二〇〇人ぐらい黒人を雇って芋を作っていたんだって。紳士だけど…

今日、ホームレスに戻ることにした 13

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★女ホームレスとの健康デート 次に奥さんとあったときは、夜勤の引越しの仕事をとれた旦那の橋本さんは不在だった。一般社会と交わるため、身だしなみを整えようと、銭湯に行っていたのである。奥さんは大塚のパワー…

今日 ホームレスに戻ることにした 12

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★女ホームレスとの健康デート 奥さんの渡辺さんと会ったのは、その二週間後だった。代々木公園の彼らの自宅のテントの中に声をかけると、橋本さんと奥さんがいっしょに出てきた。 奥さんは少し腹が出て、太っていた…

今日、ホームレスに戻った その11

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★夫婦ホームレスの善し悪しー元NTTのホームレス 驚いた。おれの雑然とした六畳間よりも整然としていた。八畳間ほどの普通のアパートの一室とさほど変わらない。地面にはすのこを敷いていて、その上に布団、ちゃぶ台…

今日、ホームレスに戻った その10

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★夫婦ホームレスの善し悪しー元NTTのホームレス 最初に橋本さんと出会ったのは、五月の連休だったのではなかろうか。 あの日も暑かった。ゴールデンウィークなのに金もなく遠出ができないおれは長男といっしょにおれ…

今日、ホームレスに戻った その8

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★チンピラホームレス 一般の社会でも隣にヤクザの事務所ができたり、チンピラが移り住んできたりすると、思いがけない災難が降りかかってきたような気がするものだ。ホームレスたちが身元がしっかりしている人間しか…

今日、ホームレスに戻った その7

★原宿で遺体を探す 2.公園で契りを結ぶ ★チンピラホームレス おれは、原宿の方角へと歩いていく。広い遊歩道には照明の光がともされた。噴水を超えた側のテント村はひっそりとしている。芝の中で段ボールを敷いてなにか食べているおじさんがいる。タバコを…

今日、ホームレスに戻った その5

★原宿に遺体を探す★ブロイラーの呪い 代々木公園まで歩いていた。 この公園の変遷は時代をまさに象徴している。最初は元大日本帝国陸軍の代々木練兵場。その後占領アメリカ軍施設をへて、東京オリンピックで代々木選手村として使用され、一九六七(昭和四二…

今日、ホームレスに戻った その4

★原宿で遺体を探す ★因果応報ホームレス「いまは路上で寝てるけど、思えば子供の頃はうちみたく畳なんか敷いている家はお大臣でね。普通の家はむしろだったんだよ。靴さえなくて、裸足か、よくて草履だな。まだ戦争をしていたころでね。兄弟? おれは七人兄…

今日、ホームレスに戻った! その2

上野公園で寝たあともホームレス行脚は続く。まるで現代の山頭火。渋谷、山谷、荒川河川敷、名古屋、大阪。最後に原発家族疎開の西成で見たものは? 本書は震災後の日本人に対する予言の書である。第1話 ホームレスデビューの悲惨 上野編 第2話 原宿に遺体…

今日、ホームレスに戻った その1

長らく、原発関連の件を書いてきた。震災後のぼくができるボランティアのひとつと考えている。けれども半年以上続けているうちに、蓄えがなくなってしまった。 だから10年振りでホームレス界に戻る。 知り合いのフリーのノンフィクション系の作家らは、淘汰…