美女は心を洗い流すニャン

三毛子はこの近辺で有名な美貌家である。吾輩は猫には相違ないが物の情けは一通り心得ている。うちで主人の苦い顔を見たり、 御三の険突(けんつく)を食って気分が勝(すぐ)れん時は必ずこの異性の朋友の許を訪問していろいろな話をする。 すると、いつの…

人も猫も十人十色ニャン 

よそ目には一列一体、平等無差別、どの猫も自家固有の特色などはないようであるが、猫の社会に這入って見るとなかなか複雑なもので 目付でも、鼻付でも、毛並でも、足並でも、みんな違う。髭の張り具合から耳の立ち按排(あんばい)、尻尾の垂れ加減に至るま…

なんでも食べるニャンは間違いニャン

イラスト BY Sagar Jhiroh 吾輩は猫ではあるが大抵のものは食う。車屋の黒のように横丁の肴屋(さかなや)まで遠征をする気力はないし、 新道(しんみち)の二絃琴(にげんきん)の師匠の所(とこ)の三毛(みけ)のように贅沢(ぜいたく)は無論云える身分でない。 従…

今も昔も悪ガキは怖いニャン

イラスト BY Sagar Jhiroh 吾輩は人間と同居して彼等を観察すればするほど、彼等は我儘(わがまま)なものだと断言せざるを得ないようになった。 ことに吾輩が時々同衾(どうきん)する小供のごときに至っては言語同断(ごんごどうだん)である。自分の勝手な時は…

昔、大和魂、今、改革ー総選挙

「大和魂!と叫んで日本人が肺病やみのような咳をした」 「起し得て突兀(とっこつ)ですね」と寒月君がほめる。 「大和魂! と新聞屋が云う。大和魂! と掏摸が云う。大和魂が一躍して海を渡った。 「英国で大和魂の演説をする。独逸(ドイツ)で大和魂の芝…

行住坐臥行屎走尿は嘘ニャン

猫などはそこへ行くと単純なものだ。食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るるときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く。 第一日記などという無用のものは決してつけない。つける必要がないからである。主人のように裏表のある人間は日記でも書いて…

金持ちの家に生まれ変わると予言したニャン

帰って見ると、奇麗な家(うち)から急に汚ない所へ移ったので、何だか日当りの善い山の上から薄黒い洞窟の中へ入り込んだような心持ちがする。 探険中は、ほかの事に気を奪われて部屋の装飾、襖(ふすま)、障子の具合などには眼も留らなかったが、わが住居…

吾輩は100年後に蘇ると予言しておいたニャン

先達(せんだっ)てカーテル・ムルと云う見ず知らずの同族が突然大気(だいきえん)を揚(あ)げたので、 ちょっと吃驚(びっくり)した。よくよく聞いて見たら、実は百年前(ぜん)に死んだのだが、ふとした 好奇心からわざと幽霊になって吾輩を驚かせるために、遠い…

夏目漱石が猫の姿で蘇った?

夏目漱石は、デビュー作「吾輩は猫である」から後半の「行人」「明暗」に到るまで、何が嫌いか、何が苦しいかなどの不平不満を作品で言い続けた作家です。 逆に何が好きかはほとんどいっていません。 すなわち、漱石は、 「金持ちは嫌いだが金が欲しい、探偵…

総選挙を占う 民主政権下、こうしてメディアは殺される

2005年の個人情報保護法案(首相小泉)、2013年の秘密保護法(首相安倍)、2017年の共謀罪法(首相安倍)ときては、ノンフィクションのライターや作家は、活動するのが本当に難しくなった。最初の個人情報保護法からして、政治家や役人を守り、硬派のノンフ…

 総選挙を占う 民主政権下でのハイブリッド型ファシズム独裁の作り方

さて、選挙だ。小生のような浮動票に属する人間には、いつもどの政党に入れるのか、あるいは誰に入れるのか、よくわからない。洞ヶ峠を決め込むか、あるいは、関ヶ原の戦いで松尾山に陣取った小早川秀秋の心境で「徳川も豊臣もどちらも泥だ」(司馬遼太郎)…

チェ・ゲバラはただの山賊以外の何者でもない(3)

4.山賊としての残念な死住民を敵に回す ゲリラは基本的に金を支払って農民から食糧を調達していた。時には時価の3倍も支払って薬なども買っている。けれども、多雨密林地域ではすぐに道が途絶する。ある程度食糧の備蓄がいる。ジャングルの中での鉄道建設…

チェ・ゲバラはただの山賊以外の何者でもない(2)

3.ゲリラ活動 地元組織との連携に失敗する 海外進出事業は適切な地場の企業との協力が不可欠である。筆者の従事した鉄道事業では、ボリビアの日系企業と合弁することができ、おかげで随分と助かった。ゲリラ事業も同じである。地元をよく知るグラスルーツ…

チェ・ゲバラはただの山賊以外の何者でもない (1)

チェ・ゲバラはただの山賊だったし、自ら山賊としての死を7年前に予言していた。けれどもイケメンでかっこういい言葉を残したので 本を読まない若者の英雄である。是非、ゲバラファンは「ゲバラ日記」を最初から最後まで読んでもらいたいものだ。 彼が連合赤…

Jアラートの怪 総務省消防庁に聞いてみた

面妖なJアラート 「大変だ、北朝鮮が日本にミサイルだって」 家人の声で起こされた。 朝の6時2分だ。 でも、うーん、眠い。最近また暑さがぶり返し、まったく何事もやる気がない。日々、食べて眠る病人のような怠惰な生活を続けている。 なんだかテレビの音…

シリア難民キャンプを行く

畑で働くシリア人女性たち アンチレバノン山脈を越えれば、シリア。ダマスカスまでは車で30分前後である。以前はISの支配地域だったが、ヒズボラが彼らを蹴散らしている。 中東は敵の敵は味方という、わかりやすい構図なので、たとえばヒズボラの敵であるイ…

ベッカー高原からダマスカス街道へ

さて、ベッカー高原というと何を思い出すだろうか。年代やどのような階層に属するかでまったくイメージは違うのではなかろうか? 団塊の世代だと、日本赤軍が訓練をしたキャンプのあるところとして記憶しているかもしれない。旧ソ連やシリア人には苦い思い出…

Ali Abdel Karim大使におしかけインタビュー

昨日と違い、シリア大使館の入口の警護官他、名前をいうと大使の客人ということで、丁重な扱いだった。 出迎えてくれた第一秘書官は小柄な美人の若い女性(Reem Jihad Jaber)、できれいな英語を話した。欧米に留学しているのだろう。 案内されたのは大使の執…

ベイルートでシリア大使館にやっと辿り着く

フェニキア人の子孫は一筋縄ではいかない タクシーの運転手には国民性が凝縮されていたりする。レバノン人は半数は一筋縄ではいかない商人だという印象をもった。 空港ーベイルートは「15ドルでいいよ」、「シリア大使館、シリア難民キャンプ、150ドルでいい…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった3-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く

シリア大使館は閑静な場所にあった。領事の責任者は「ビザはベネズエラ居住権がない人はとれない」ととりつくしまがなかった。やる気のない官僚的なベネズエラ人だろう。 ともかくベネズエラ人の仕事のやる気のなさはひどい。この大使館の居場所を知っていた…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった2-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く-

ベネズエラ プエルトラクルス 私が住む街のシリア人の大半は、破壊つくされた街のアレッポから来たキリスト教徒である。経済的にもベネズエラ人よりもずっと上の彼らは、彼らの巨大な教会を持ち、アレッポの平和を祈り、さらにシリアクラブでは、一般向けの…

シリア内戦は21世紀最悪の石油戦争だった1-ベネズエラ、レバノン、シリア国境でシリア人の肉声を聞く-

本稿はWedgeInfinity掲載レポートの詳細版です。 シリア内戦はまるで100年戦争である。世界のマスコミでは石油についての言及はなぜか注意深く伏せられている。 レバノン、イスラエル、シリア沖地中海に発見された巨大な原油層は、戦争の原因の大きなひとつ…

偽情報に何度も何度も騙される人々

中東をめぐるニュースの大半は偽情報、偽旗作戦である。 アメリカ、フランス、ロシア、イギリス、イスラエル、中近東各国、すべていかがわしい。 それなのに、騙されやすい無垢な日本人の中には、驚くことにマスコミの中にもいるようだが、リテラシーが乏し…

共謀罪なくとも、下町警察はアルカーイダを逮捕していた

私の家のそばの荒川尾久署は優秀なのだ! 15年も前にきちんとテロリストを逮捕している。共謀罪など必要ないのだよ。野党もマスコミもこの件に言及しないので、記録しておく。 それよりも私の疑問は別のところにある。 もし共謀罪ができたら、政府の秘匿した…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (3)

[:]見どころ満載のレバノン観光 ベイルートでは稀な経験ができる。イスラム教寺院で隣のキリスト教の教会の鐘の音を聴くことができるのだ。レバノンが微妙な均衡の中にいることを思わせるとともに、「シリアだって宗教は関係なく仲良くやっていたんだ」とい…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (2)

日本大使館員が親切に応対してくれたが ベイルートの日本大使館は厳重に警護された大使館コンプレクスの2重、3重の扉の中の広い敷地に、オーストラリア大使館、イギリス大使館などと同居していた。 一介の旅行者の私に親切に対応してくれたのは、警察から…

レバノンのメイドカフェと日本人人質 安田純平氏 (1)

ヌスラ戦線に拘束され、生死不明の安田純平氏の写真が掲載されてから、1年がたつ。 ヌスラ戦線などのテロリストに拘束された他国の人間はよく解放されているのに、なぜ日本人だけ解放されないのだろうか? 不思議だった。そこでシリア大使館も兼ねているベイ…

新自由主義の終焉はアマゾンの小村で30年前に予言されていた

掲載レポートの原文です。原文と掲載文の相違を読み解くと、どこが削除されているのかがわかって 面白いですよ。 南米の小国ボリビアは1984〜5年当時、度重なる政変と直近の社会主義的政策の破たんもあって、2万パーセントを超えるハイパーインフレだった。…

偽情報の影響と福島の母親の声

4月11日に20km圏外にある福島県内5市町村(飯舘村・浪江町・葛尾村の全域、および、川俣町と南相馬市の一部地域。対象は約3,000世帯・約10,000人)が計画的避難区域に指定された。 5月23日に福島の親たちが、文部省に集まって、年間20ミリシーベルトの安全基…

3号機爆発のデータ欠落の謎

もうひとつ腑に落ちない情報がある。3月14日午前11時1分3号機が爆発した。1号機(水素爆発 3月12日)の映像とは違う。白い噴煙と黒い噴煙では、爆発の種類が違う。 そう直観したし、そう考えるのが妥当な常識である。専門家は必要ない。核実験を観測するC…